現役研修医きよすけのブログ

私 きよすけの勉強用のものです。(旧名takuwaningのブログ、昔アカウント名がけんだったころもあります)運営者は医学的助言を行っておりません。当ブログの情報の利用は自己責任でお願いします。

【弁膜症】【感染性心内膜炎】

きよすけの一言
「Austin Flint ってカッコいい。ガンダムみたい。モビルスーツみたい、MS・・・?ん?機能的MS・・・? !!!」

問題
以下の文の中で正しいものを選べ #けん国試
選択肢
a 今後妊娠を希望する患者には機械弁が適している
b Austin Flint雑音は大動脈弁狭窄症において認める
c 急性の経過をたどるIEの原因菌はレンサ球菌が最多である
d Osler結節は有痛性の皮下結節である。

 

答えは

 

「d Osler結節は有痛性の皮下結節である」です。

 

解説
a
誤りです。機械弁を入れると抗凝固薬療法が必要になってしまうため誤りです。
b
誤りです。Austin Flint雑音はAR(大動脈弁閉鎖不全症)において認める雑音で、逆流によって生じる僧帽弁の狭窄(機能的MS)が原因とされています。大動脈弁が閉まらず、左室内に大量の血液が返ってくると僧帽弁を経て左房から左室へ入ってくる血液たちも入りづらいですよね。それが原因で生じる音です。

誤りです。急性の経過(数日)をたどる場合感染性心内膜炎の起因菌は黄色ブドウ球菌が最多です。
d
正解です。押しても痛くないものはJaneway発疹ですね。

以下aに関係するちょっと詳細な解説。
弁置換術に用いられる人工弁には、機械弁、生体弁という大きい区分けが存在します。

機械弁は耐久性に優れますが、体から見ると「異物」であるため生体弁に比べると抗血栓性に劣ります。


耐久性に優れており、毎日の投薬が必要な機械弁はその特徴から
・若い患者(つまり弁に頼る期間が長く、認知機能に問題なくしっかり服薬できる)
・妊娠を希望していない女性や出血傾向などを認めない男性(抗凝固療法を行うことが出来る)
の場合に用いられます。
※「抗凝固療法に用いられるワーファリンに催奇形性がある点」、「抗凝固療法を行うと出血を伴う出産のリスクが上がるという点」の2点から、妊娠が予定される患者の場合、機械弁は避けられることが多いです。

 

生体弁には異種、同種、自己生体弁の三つがありますが日本において生体弁というと基本的には異種生体弁を指します。(異種、つまりブタ・牛の心膜をもちいたもの)
生体弁は抗血栓性に優れますが、耐久性が機械弁に比べると劣ります。
・高齢者(弁の耐久期間内に寿命を迎える確率が高いと考えられる場合)
・妊娠を希望する女性(抗凝固療法を行うことが出来ない)
・出血傾向などを持つ患者(〃)など
には生体弁が用いられます。