現役研修医きよすけのブログ

私 きよすけの勉強用のものです。(旧名takuwaningのブログ、昔アカウント名がけんだったころもあります)運営者は医学的助言を行っておりません。当ブログの情報の利用は自己責任でお願いします。

【弁膜症】【僧帽弁狭窄症】

きよすけの一言
「MS みっつ さんこ でMS。だから特徴的な音が三つ。
1僧帽弁が固いから起こる音→opening snapとI音亢進、2拡張期ランブル 3左心房の最後のダメ押し=前収縮期雑音 

問題文
僧帽弁狭窄症(MS)について正しいものを選べ。

a 心尖部に拡張期ランブルを聴取する
b 左房血栓は経胸壁エコー検査で見つかりやすい
c 抗凝固薬は禁忌となる
d 現在、本邦において増加傾向にある

 

答えは

 

「a 心尖部に拡張期ランブルを聴取する」です

 

僧帽弁狭窄症
Mitral stenosis

a
正しいです。僧帽弁領域は心尖部

b
左房は体の奥にあります。
こんな感じ↓

   左房食
胸右房左室道
壁右室
なので経食道エコーで左房の内部を確認し、血栓がないかも見てあげましょう。

c
むしろこの後飲むことになることが多いです!
MSはAF心房細動を引き起こしますので、抗凝固薬を飲まないと血栓飛ばしてしまいます。(国試でも110A27 や109B61で出ています)

d
MSは現在減少傾向にあります。
それはMSの原因となるリウマチ熱(溶血性レンサ球菌が引き起こす)が減少しているから。単純ですね。


ちょっとした解説。
僧帽弁狭窄症は左房と左室を分ける房室弁が狭窄して、左房から左室へ流れる血液が渋滞を起こしている状態です。
MSが起こると、左房圧の上昇、肺動脈圧の上昇、右室負荷、右心不全と、どんどん流れをさかのぼる形で圧の上昇とそれに伴う機能障害が起こります。
またMSは心房細動を引き起こすため、脳塞栓などの体循環においての塞栓も引き起こしやすいです。(弁膜症の中で心源性脳塞栓を起こす頻度最多

 
MSの検査としては、僧帽弁の狭窄ですので、心エコーでは弁口面積の減少を認める所見や僧帽弁MモードにおいてのDDR(拡張期弁後退速度)の低下が有名です。
DDRの低下は 猫の顔のような僧帽弁Mモードが、耳が消えてふにゃってなります。
これは固くなった僧帽弁が、閉まりにくくなったため、拡張期の始まりから閉まり始めてゆっくり閉まっていく様子を観察していることになります。

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治療法は
弁置換などが抜本的治療ですが、MSが引き起こすAF(心房粗動)に対しての抗凝固療法や、βブロッカーなどによるペースコントロールも国試には出題されます。