現役研修医きよすけのブログ

私 きよすけの勉強用のものです。(旧名takuwaningのブログ、昔アカウント名がけんだったころもあります)運営者は医学的助言を行っておりません。当ブログの情報の利用は自己責任でお願いします。

【腸管狭窄・閉塞】【検査】

きよすけの一言
「おなか痛かったです・・・マッチング?
色々と流れていきましたね ゲリ便とともに!」

 

 

 

答え

「d 立位腹部X線でみられる多数の液面形成は鎖肛でみられる」

 

問題
誤っているものを選べ #けん国試

a double bubble sign は先天性十二指腸閉鎖・狭窄でみられる

b オリーブ様腫瘤は肥厚性幽門狭窄症でみられる

c triple bubble sign は先天性小腸閉鎖・狭窄症でみられる

d 立位腹部X線でみられる多数の液面形成は鎖肛でみられる

 

解説

さて小児の消化管疾患で、詰まる系で国試に頻出なのは
先天性食道閉鎖
肥厚性幽門狭窄症
先天性十二指腸閉鎖・狭窄症
先天性小腸閉鎖・狭窄症
鎖肛
腸重積症

くらいですね。今日はその中で
肥厚性幽門狭窄症
先天性十二指腸閉鎖・狭窄症
先天性小腸閉鎖・狭窄症
鎖肛の4つをとりあげます。

【肥厚性幽門狭窄症】

その名の通り、肥厚が原因の疾患で、胃幽門部の肥厚が引き起こす狭窄が主因となります。生後2-3週の男児に多いです。また特徴的な所見は4つ。
・反復する噴水状の嘔吐。
・右上腹部の腫瘤(オリーブ様と評される)
・エコーでdoughnut signを認める
X線でsingle bubble signを認める。
幽門って胃の肛門側ですよね、そこが閉まっているわけです。そんな状態で胃が収縮するとそりゃ噴水の勢いで胃液が飛び出るわけですね。
オリーブ様の腫瘤は肥厚した幽門部です。その部分はエコーではドーナッツのように見えます。
幽門が閉まっているため、胃が(胃泡が)拡大してみえX線でsingle bubble signと呼ばれる所見を認めます。
治療法としてはたくさん吐いているので、低Cl性アルカローシスになってるはずなので補正して、粘膜外幽門筋切開術(Ramstedt ラムステッド法)カッチカチになった幽門に切り込みを入れます。
この時、補正で乳酸リンゲルは禁忌となります。
乳酸リンゲル液はアルカローシスをさらに悪化させるためです。


【先天性十二指腸閉鎖・狭窄症】
先天性なので胎児のときから十二指腸は閉鎖しています。羊水過多の原因として有名ですね。
幽門狭窄同様、嘔吐を繰り返しますが、十二指腸閉鎖は胆汁性、幽門狭窄は非胆汁性の嘔吐物となります。(狭窄が起こる部位を考えれば当然ですよね)
有名なのはX線で認めるdouble bubble signですね。
十二指腸の2と重ねて覚えてしまいましょう。十二指腸閉鎖がdouble bubbleと覚えることができれば、そこから頭側に一個ずれる肥厚性幽門狭窄症がsingle bubble 、肛門側に一個ずれる先天性小腸閉鎖症がtriple bubble と数字とリンクさせて覚えられるので楽ですね。
ついでにもう一つ
十二指腸の12→21→21トリソミーと合併を起こすことが多いと知られています。
治療は外科手術(十二指腸十二指腸吻合術(ダイヤモンド吻合)を行います。

【先天性小腸閉鎖・狭窄症】

著明な腹部膨満と胆汁性嘔吐が主症状です。検査所見としては上でも述べましたが、X線ではtriple bubble signやstep ladder sign(多数の液面形成)を認めます。
治療法としては腸管の閉鎖部位を飛ばして吻合を行います。

【鎖肛】
主症状:出生後便が出ないことにあわせ、腹部膨満、嘔吐などが挙げられます。
また鎖肛は同時に、直腸が通常とは違う場所に開口してしまう膣前庭瘻(女児)膀胱瘻、尿道瘻などを合併していることも多いです。
検査が、ひっかけ問題のようですが、倒立位で撮影したX線写真を診断に用います。こうすることで直腸の終わりに空気を集めて、造影剤代わりにして盲端の位置を把握する訳ですね。
治療法は直腸が排便に関わる筋(恥骨直腸筋など)より低位にあるか(低位型)なのか口側にあるのか(中位型、高位型)で変わります。
低位型の場合には会陰式肛門形成術や肛門拡張術を行い、この場合人工肛門は必要ありません。
より高位型の場合、人工肛門造設術を行い、生後3か月以降、直腸肛門形成術を行います。低位型に比べては排便機能は不良となります。
つまり鎖肛は 直腸が 坐骨よりも肛門側まで降りてきていたら人工肛門いらず! 

 

a double bubble sign は先天性十二指腸閉鎖・狭窄でみられる
正しい。

b オリーブ様腫瘤は肥厚性幽門狭窄症でみられる
正しい。右上腹部に肥厚した幽門を触れます。

c triple bubble sign は先天性小腸閉鎖・狭窄症でみられる
正しい。

d 立位腹部X線でみられる多数の液面形成は鎖肛でみられる

誤り。これは小腸閉鎖・狭窄症で見られます。

 

先天性食道閉鎖について Gross分類というものがある!

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A型は 食道口側断端も肛門側断端ともに気管との交通無し 10%
B型は 食道口側断端が気管との交通あり
C型は 食道肛門側断端が気管との交通あり 90%
D型は 食道口側断端も肛門側断端ともに気管との交通あり
E型は 食道が気管との交通あり
最多はC型 90%! 次はA型10%! その他はレア!