現役研修医きよすけのブログ

私 きよすけの勉強用のものです。(旧名takuwaningのブログ、昔アカウント名がけんだったころもあります)運営者は医学的助言を行っておりません。当ブログの情報の利用は自己責任でお願いします。

【黄疸】

きよすけの一言
「動画に出演しました。


【113C12】(正答率62%) こくろー毎日医師国試【外部委託】

113C12 を解説させて頂いています。
中身は現役医師であるこくろーさんに監修してもらってますので安心していただいて大丈夫ですけど・・・緊張しました・・・」

問題
小児の黄疸について説明した文の中で正しいものを選べ。

a 生後6時間の黄疸は生理的なものと考えられる
b クレチン症は直接bil優位の黄疸の原因となる
c 新生児肝炎は経過観察とする
d 胆道閉鎖症は2.3歳まで待って手術を行う

 

 

 

答え

 「c 新生児肝炎は経過観察とする」

 

問題
小児の黄疸について説明した文の中で正しいものを選べ。

a 生後6時間の黄疸は生理的なものと考えられる
b クレチン症は直接bil優位の黄疸の原因となる
c 新生児肝炎は経過観察とする
d 胆道閉鎖症は2.3歳まで待って手術を行う

 

解説

小児の黄疸(英語だとJaundice)
「なんか生理的な黄疸もあったし・・・ややこしいなぁ・・・」となってしまってる人、一緒に勉強しちゃいましょう!

ちょっと長くなってしまいました。
選択肢解説が最後にありますのでそこまで、飛ばしてもらってOKです。

生理的黄疸・母乳黄疸

生後2-14日の間の黄疸は、生理的なものが含まれます。
この時期の黄疸=病気じゃない。という訳ではないです、度を越えたビリルビン値の上昇などはもちろん精査が必要です。ただ国試的にはこの時期の黄疸はOK!と判断されることが多いですね。
なぜこの生後2-14日の黄疸は生理的と判断されることが多いのか?
それは新生児の血液に答えがあります。新生児の血液を構成するHbは胎児性Hbと呼ばれ、大人のHbとは違います。生後だんだんこの胎児性Hbは世代交代して大人のHbに代わっていきます。なので胎児性Hbは生後だんだん溶血していく訳です。
なので生後すぐではなく、2日ほど空けてから、生理的黄疸がみられるという訳です。
溶血が原因なので直接ビリルビン優位となります。
ざっくり覚えるのならば
「生後2-14日より早くてもムムっ?となりますし、遅い時期の黄疸もムムっ?となるべき」ということですね。
例外は母乳栄養児。母乳の中には、「間接ビリルビン」→「直接ビリルビン」 この変換を阻害する成分が含まれています。なので母乳栄養児は生後14日以降でも黄疸を認めたりします。ただ間接ビリルビン優位じゃない時は注意が必要です。

 

甲状腺機能低下症
クレチン症(甲状腺機能低下症)。全身の代謝がゆっくり、抑制されちゃう病気ですよね。(ざっくりしすぎててすいません)
なので「間接ビリルビン」→「直接ビリルビン」の変換もゆっくりになるので、間接ビリルビン優位の黄疸を生じます。国試にも出てます。しっかり覚えましょ!

110I9 - みんなの質問掲示板

 

うんこの色
うんこの色はビリルビンが元になっています。
なので、うんこが真っ白になっているとオカシイわけです。
胆汁が腸管に流れていないことになる。ということで灰白色便を呈していると疑うべき疾患が二つあります。
新生児肝炎胆道閉鎖症の二つ。どちらも胆汁うっ滞を生じますね。
新生児肝炎
原因不明の胆汁うっ滞が起こっています。予後良好で放っておいてOK!
胆道閉鎖の程度はちょっとは胆汁が通るって程です。なので十二指腸液の中に胆汁、認めます。肝臓で処理された直接ビリルビンが血液に逆流している、といった形なので、直接ビリルビン優位です。これは胆道閉鎖症も一緒!
胆道閉鎖症
かなり予後不良な疾患です。見つけたら即手術。(手術は生後60日以内に行いたいものです、早ければ早いほど良い!)
胆汁うっ滞は「完全」なものなので十二指腸液の中に胆汁を認めません。
手術後、やはり黄疸が治らない場合などは肝移植まで考慮します。

 

血液型不適合・感染症
上記の

甲状腺機能低下症(間接ビリルビン優位)
2新生児肝炎(直接ビリルビン優位)
3胆道閉鎖症(直接ビリルビン優位)
は、1 間接ビリルビンのグルクロン酸抱合がゆっくりになることが原因の黄疸ですし
2、3は 直接ビリルビンが胆汁に流れないことで起こる黄疸ですね
つまりこれらの黄疸はすべて、処理がうまくいかずにあふれ出る形で起きます。なので黄疸の出現には時間がかかります。実際にこれらの黄疸は生後14日以降に認められるものばかりです。
では生後すぐに認める黄疸はなにか? それが血液型不適合です。
なぜ血液型不適合は生後すぐ認めるか?それは血液型不適合が引き起こす溶血は、胎児の時から始まっているからですね。
生後すぐの黄疸は、このように胎児の時から起こる問題(感染症TORCHなど)が原因になります。

 

 

a 生後6時間の黄疸は生理的なものと考えられる
誤り。生後すぐから2日までの黄疸は病的と考えられます。
b クレチン症は直接bil優位の黄疸の原因となる
誤り。間接ビリルビン優位の黄疸の原因となります。
c 新生児肝炎は経過観察とする
正しい。
d 胆道閉鎖症は2.3歳まで待って手術を行う
誤り。急いで! 生後60以内に手術ですよ!