現役研修医きよすけのブログ

私 きよすけの勉強用のものです。(旧名takuwaningのブログ、昔アカウント名がけんだったころもあります)運営者は医学的助言を行っておりません。当ブログの情報の利用は自己責任でお願いします。

【喘息】

きよすけの一言
「新聞読んでます? 僕はなんとなく研修医になったらちゃんと契約しよ!って思ってます」

 

40歳女性。主訴喘鳴。9週前に感冒に対し治療を受け改善。2週前から夜間に喘鳴が出現した。喫煙歴なし。身長160cm体重52kg体温36.2℃脈拍64/分整 血圧106/62mmHg呼吸数16/分SpO2 98%呼気時にwheezesを聴取。IgE 540(基準250未満)。(106D34縮)
治療薬として適切なのはどれか。#けん国試

選択肢
a 短時間作用型β遮断薬
b 抗コリン薬
c マクロライド系抗菌薬
d 副腎皮質ステロイド吸入薬

答え

 「d 副腎皮質ステロイド吸入薬」

 

喘息の治療法は二つ抑えましょう。
発作時の治療と非発作時の治療です。
発作時のステロイドはがっつり静注です。今起こっている発作に対処したいので「短時間作用性」β2刺激薬吸入(第一選択)、アミノフィリン点滴、アドレナリン皮下注・筋注を行います。
非発作時の治療の
第一選択薬はステロイド「吸入」ですね。ロイコトリエン受容体拮抗薬、長時間作用型抗コリン薬吸入や同じく長時間作用型B2刺激薬吸入を行います。
ちなみに 113回国家試験では COPDの患者さんに対して用いない治療薬はどれ? という問題でロイコトリエン受容体拮抗薬を選ばせる問題が出ています。

youtu.be

こくろーさんの解説はこちらです。

 

これに追加して抑えておくべきは
喘息発作って何?ということですね
喘息発作には 小発作 中発作 大発作 重篤の分類があります。
小発作は「苦しいけど横にはなれる」が目安です。
今回の症例の場合、主訴は喘鳴であって「苦しい」とは言っていないので今は非発作時にあたりますね。
なので第一選択薬の副腎皮質ステロイド吸入薬が正解となります。

a誤り。
短時間作用型β遮断薬は発作時の治療薬ですね。なので誤りです。
↑(追記です大間違いですすいません)
短時間作用型β刺激薬が発作時の治療薬であり、遮断薬は喘息の人には禁忌になりうる選択肢ですね。わかってても字に脳が騙されるものですね。気を付けましょう(経験談

b 誤り。
抗コリン薬は全く悪く無い選択肢なのですが、第一選択薬の副腎皮質ステロイド吸入薬があるのでそっちが正解になってしまうわけですね。この選択肢は国試過去問にもあるものなので、国試の本番において「治療の優先順位が少なくとも喘息においては問われる」という事実もしっかり意識しておきましょう。
c
誤り。
マクロライド系抗菌薬は抗菌薬としてではなく、呼吸器の領域では気道の分泌抑制や抗炎症作用目的に利用されることが多いです。
その適応はびまん性汎細気管支炎、慢性副鼻腔炎、気管支拡張症などが挙がります。
d
正しい。
bの解説でも述べましたが、副腎皮質ステロイド吸入薬は第一選択薬なので、非発作時のこの患者さんにはこちらが正解となりますね。


ちなみに喘息の発作は
小発作 苦しいけど横にはなれる
中発作 苦しくて横にも慣れない
大発作 苦しくて動けない
重篤 呼吸減弱・停止
といったものが目安となります。