現役研修医きよすけのブログ

私 きよすけの勉強用のものです。(旧名takuwaningのブログ、昔アカウント名がけんだったころもあります)運営者は医学的助言を行っておりません。当ブログの情報の利用は自己責任でお願いします。

【クラミジア】【chlamydia】

問題
Chlamydia pnueumoniaeが引き起こすクラミジア肺炎(a bで言及)・オウム病(c・dで言及)について正しい文を選べ #けん国試

選択肢
a 日和見感染の代表例として知られる
b 妊婦の場合テトラサイクリン系を用いる
c 人から人への感染は認めない
d βラクタム系抗菌薬を用いる

 

答え

 「c  人から人への感染は認めない 」

 

解説
a 日和見感染の代表例として知られる
誤り。クラミジア肺炎は市中肺炎の四大原因として知られるほどです。肺炎球菌、インフル桿菌、マイコプラズマに次ぐ存在で欧米では市中肺炎の10%ほどを占めるとされています。(日本では大体的な調査がないですが、5-7%ほどと推定されています)

b 妊婦の場合テトラサイクリン系を用いる
誤り。テトラサイクリン系は歯牙黄染を起こしてしまいます。
ニューキノロン系も安全性が確立されていません。(小児の関節形成に異常をきたすと考えられています)
禁忌選択肢にあたるかなと考えます。

c 人から人への感染は認めない
正しい。
オウム病はオウムやインコなどの鳥から人へ感染すると考えられています。

d βラクタム系抗菌薬を用いる
誤り。
クラミジアは細胞内寄生菌なので菌の細胞壁を攻撃するβラクタム系抗菌薬は効きません。

 


さて同属の菌である
Chlamydia pnueumoniae,と
Chlamydia psittaci が呼吸器症状を生じさせる二つの疾患をそれぞれ勉強しましょう。(性感染症や新生児の肺炎を起こすChlamydia trachomatisは今回はノータッチでいかせてください)
クラミジア細胞内寄生菌なので、ほかの細菌と一緒の思考プロセスでは正しく認識できません。
細菌のくせして風変わりなやつとクラミジアを認識しましょう

Chlamydia pnueumoniaeは狭義のクラミジア肺炎を起こします。
クラミジア肺炎は人から人へ感染を起こし、市中感染の四大原因として数えられるほどポピュラーです。
なぜそこまでポピュラーなのか、それは抗体ができてもクラミジアは細胞内寄生菌なので防御機構としては機能しないからです。何度も繰り返し感染してしまいます。
症状
熱が軽く、咳がひどいことが多いとされています。特異的な症状がないので、診断がつかないまま異形肺炎として処理されてしまっていることが多いと考えられています。
検査
意外ですが間質性陰影を呈さないことも多いため胸部レントゲンでも特異的な所見はありません。
IgG抗体測定、ELISAも診断に用いられます。
治療
テトラサイクリン系、ニューキノロン系を用います。
小児、妊婦の方にはマクロライド系を用いましょう。(テトラサイクリンは歯牙黄染をきたし、ニューキノロンは安全性が確立されていません。)


Chlamydia psittaciはオウム病を引き起こします。
オウム病は人から人へ感染しません
ペットから人で終わりです。
症状
熱も高く、乾性咳嗽も激しいです。
インフルエンザのような症状を呈すと言われることもあります。
検査
血液検査で白血球が上昇しません(クラミジア肺炎はします!)
また胸部レントゲンで間質性陰影を呈します。
治療
テトラサイクリン系が用いられます。
注意点はクラミジア肺炎同様
妊婦、小児には
マクロライドを用いて治療を行うという点です。