現役研修医きよすけのブログ

私 きよすけの勉強用のものです。(旧名takuwaningのブログ、昔アカウント名がけんだったころもあります)運営者は医学的助言を行っておりません。当ブログの情報の利用は自己責任でお願いします。

【NTM】

きよすけの一言
「落ちたらいやだなー って常に頭にある」

問題
NTM(nontuberculous mycobacteriosis)について説明した文の中で正しいものを選べ #けん国試

選択肢
a 種によっては人から人へ感染するものもある
b ZN染色によって結核と鑑別できる
c MAC感染には抗結核薬を用いる
d MAC感染者はIGRAでは陰性を示す

答え

 「d MAC感染者はIGRAでは陰性を示す」

 

解説
a 種によっては人から人へ感染するものもある
誤り。人から人へ感染しません。

b ZN染色によって結核と鑑別できる
誤り。喀痰塗抹検査で用いるチールニールセン染色は抗酸菌全てで陽性を示します。その為結核とNTMの鑑別に用いることはできません。

c MAC感染には抗結核薬を用いる
誤り。
用いません。MACは抗結核薬に耐性を有することが多い為クラリスロマイシンを用います。

d MAC感染者はIGRAでは陰性を示す
正しい。しかし同じNTMでもM.ksansiiでは陽性なのでIGRAに頼りすぎる発想は危険なので気をつけましょう。

〈選択肢考察から見える注意ポイント〉
結核を疑うような患者が、ガフキー陽性(喀痰塗抹検査陽性)でもいきなりその患者を結核病棟送りにしてはいけません。
それは患者が結核ではない場合、感染の恐れがないため隔離の必要はありません。 
それどころか結核に感染していない患者を結核感染のリスクが高い空間に送り込んでしまいかねません。
ガフキー陽性の場合、患者にはサージカルマスクをつけ医療者はN95マスクを用い個室に隔離しましょう。
その後急いで、PCR法(結核かどうか白黒ハッキリできる検査ですね)をオーダーしましょうね。


結核性抗酸菌症
NTM(nontuberculous mycobacteriosis)
抗酸菌だけど、結核じゃない。それがNTMですね。
NTMの中には
・肺MAC
・M.kansasiiなどがありますね。
こいつら土、泥などに住んでいます。過敏性肺臓炎(3.4型アレルギー)の一つ農夫肺などと混同しないようにしましょう。農業に携わるなどの共通したエピソード問題が作られることが予想されます。

・肺MAC
NTMの中で最多。
人から人へ感染を起こしません。
ZN染色陽性
IGRA(抗原特異的インターフェロン-γ遊離検査 )陰性
治療では抗結核薬には耐性を有すことが多いため、クラリスロマイシンを用いて治療します。

・M.kansasii
NTMの中で頻度は二位。
やはり人から人へ感染は起こしません。
もちろんZN染色陽性。
IGRA(抗原特異的インターフェロン-γ遊離検査 )陽性(※1)
治療
エタンブトールなど抗結核薬が用いられます。

※1
IGRAの良い点
結核の補助診断に用いることができる。
ツベルクリン反応と違い、BCG接種を受け結核でない人に対し陰性を示す


IGRAの悪い点
既感染でも陽性となる
M.kansasiiでも陽性となる