現役研修医きよすけのブログ

私 きよすけの勉強用のものです。(旧名takuwaningのブログ、昔アカウント名がけんだったころもあります)運営者は医学的助言を行っておりません。当ブログの情報の利用は自己責任でお願いします。

【胸痛】

きよすけの一言
「昔アナルバーニングというバンドを組んでました」

 

問題
19歳男性。昨日夕方散歩中に左胸の痛みに気づく。深呼吸によって呼吸苦が増悪する。一日様子を見ても軽快せず朝徒歩で来院。身長176cm体重58㎏.バイタル異常なし.sPO2 97%,体位による痛みの変化なし.呼吸音の左右差あり.四肢末端の脈拍左右差・下腿浮腫なし.(107F29改)
行うべき対応はどれか #けん国試

選択肢
a 帰宅許可
b 酸素投与
c 心電図モニター装着
d 胸部X線撮影

答え

 「d 胸部X線撮影」

解説

今回の疾患は気胸ですね。
気胸は何らかの原因に胸腔内に空気が入り込み、肺が虚脱する疾患です。
「何らかの原因」がどんな原因かによって分類されます。
自然気胸 理由もなく発生したブラやブレブが破れることで肺が虚脱するもの
・続発性気胸 肺気腫や肺がんなどの病気が原因で生じるもの
・外傷性気胸 外力などによって折れた肋骨などが胸壁を突き破りおこるもの
・医原性気胸 鎖骨下静脈穿刺や人工呼吸器使用による陽圧換気などによって生じるもの
↑これらは原因によって分類したものですが、それとは違う分類法で緊張性気胸というものもありますね。
これはどんどん胸腔に空気が入り込むような形で肺が破れてしまい(チェックバルブと呼ばれますね)、膨らむ胸腔に心血管が圧迫されてショック状態を呈すものですね。今回は割愛!


気胸の主訴はやはり突然の胸痛と呼吸苦。
そして都市伝説ですが巷では「イケメン病」なんて呼ばれていますね。
若くて、背の高い、男性に多いとされているからです。
イケメンかはおいておいて、実際にこの3点の特徴よくでます。押さえておきましょう。
身体診察では
聴診では呼吸音の減弱(肺に空気が入っていかないので減弱するんですね)
打診では鼓音(胸腔がパンパンなのでポコポコ音がなるんですね)
そして声音振盪が減弱します(背中に手をあててあーって言ってもらうものですね。COPDや胸水がある場合も減弱します)
治療
安静にしていると治ることもあります。何度も再発する場合は手術を行います。


a 帰宅許可
誤り。気胸の診断をつけるためには胸部X線やCTでしっかり肺の虚脱を確認しましょう。
せずに帰してはいけません
b 酸素投与
誤り。
SpO2は97%ありますので、次に行うかといわれると違いますね。
c 心電図モニター装着
誤り。
僕はちなみにこの過去問を解いていて非常に悩んでしまったんですよね。
気胸だろ? でも一応胸痛なら心電図つけて冠動脈疾患を除外すべきでは?」と
そこに言及されている解説はちょっと見つからなかったんですが、年齢と昨夜からずっと痛い割にバイタル安定しているというエピソード的にかなり可能性は低いかな?ということでdが優先されるということなのだと理解しています。
「おい!違うだろ!」という方 ご指摘頂けると嬉しいです。
d 胸部X線撮影
正解。
ということで正解はこれですね。気胸の診断をつけてあげましょう。