現役研修医きよすけのブログ

私 きよすけの勉強用のものです。(旧名takuwaningのブログ、昔アカウント名がけんだったころもあります)運営者は医学的助言を行っておりません。当ブログの情報の利用は自己責任でお願いします。

【SIADH】【浸透圧】【尿中Na】

きよすけの一言
ガリガリ君嫌いな人が僕の周りには多くて寂しいです」

 

問題
SIADHについて説明した4つの文の中で、正と誤の文がある。
正と誤どちらかが三つ、どちらが一つあるので、少ない方を選べ。 #けん国試
選択肢
a 生理食塩水を治療に用いる
b 血漿より尿が浸透圧が高い
c 尿へのNa排泄が高まる
d 意識障害をきたす

 

答え

 「a 生理食塩水を治療に用いる」

 

解説
SIADH。Syndrome of Inappropriate secretion of ADH
略称で終わらせず、しっかり英単語を見るとなんとなく病気が見えてきます。
不適切なADHの分泌症候群。そのまんま! ほんっとそのまんまですね。

 

ADH、別名バゾプレシン。 下垂体後葉から出るホルモンですね。
・機序
集合管に作用して集合管から「水のみを再吸収」します。
なのでADHが空気を読まず出続けてしまうSIADHでは、1(体の中に水がめっちゃ入ってきて)しまいます。
もちろんそのまま体も黙ってないので、2(RAA系が抑制され、心房からはANPが分泌されることで体から水を追い出そう)という動きが起こります。
1(体の中の~)で体内に水が入ってきて
2(RAA系が抑制され~)で体内から水が追い出されて、Naも一緒に尿として出ていきます。

なのでSIADHの患者さんの体内では、体内と体外で水の動きはプラマイゼロとなり、水の出入りはあまり起こりませんが、Naだけは尿としてどんどん出ていきます。

原因
SAHや髄膜炎、頭部外傷。薬剤性、胸腔内疾患、肺炎や陽圧換気による胸腔内圧上昇でもSIADHは起こります。

症状
倦怠感、意識障害、けいれん、RAA系抑制(レニン低値、アルドステロン低値)、尿酸
診断
血中浸透圧低下と併存するADH分泌を確認できればSIADHとなる。
治療
高張食塩水(3%食塩水とかを用います。生理食塩水って0.9%なことを考えると、濃いですよね~)とフロセミド併用、水制限(まずこれがしやすい)

、デメクロサイクリンを用いる
鑑別
低張性脱水(低張性脱水は尿中Na高値が鑑別ポイント)、腎機能低下(腎機能低下はCr高値が鑑別ポイント)、副腎不全(副腎不全はCORT低値が鑑別ポイント)

 

a 生理食塩水を治療に用いる
誤り。治療は高張食塩水とフロセミド、水制限、デメクロサイクリンを用いる
b 血漿より尿が浸透圧が高い
正しい。尿の浸透圧が上昇。
c 尿へのNa排泄が高まる
正しい。ADHによる水の過剰再吸収への代償で、Na排泄が高まります。
d 意識障害をきたす
正しい。低Na血症を来すので意識障害もきたしうる。