現役研修医きよすけのブログ

私 きよすけの勉強用のものです。(旧名takuwaningのブログ、昔アカウント名がけんだったころもあります)運営者は医学的助言を行っておりません。当ブログの情報の利用は自己責任でお願いします。

【高プロラクチン血症】【PCOS】

きよすけの一言
「太った・・・本当に太った・・・」

 

問題文
以下の文章は高プロラクチン血症が引き起こす無月経について説明した文章である。
無月経の原因となる高プロラクチン血症の原因は主に3つ。
下垂体腫瘍:プロラクチノーマ
薬剤性の物:抗ドパミン作用を持つ薬を飲むことで、プロラクチン優位となる。」
原因として三つ目に書き足すものにふさわしいものは以下のどれか
a sheehan症候群
b 甲状腺機能低下症
c PCOS
d ドパミン作動薬

 

答え

 
b 甲状腺機能低下症

高プロラクチン血症の無月経
苦手ですよね~。プロラクチンは過剰に存在すると
視床下部に働きかけて
LHRH(黄体形成ホルモン放出ホルモン GnRHの一つ)の分泌を阻害します。

a sheehan症候群
誤り。
下垂体前葉機能の全般的な低下をきたすので、PRLも低下することが考えられます。
b 甲状腺機能低下症
正解。
甲状腺機能低下症!えなんで?となる人もいるかもしれません。
僕もしょっちゅう忘れて、毎回え?なんでとなります。機序は以下の通り
甲状腺機能低下(=あ!T4とかT3とか出てない!と体が気づく)→視床下部が焦ってTRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)を出す!
このTRHがうっかりさんで、下垂体に「TSH(甲状腺刺激ホルモン)とPRL出して!」と注文してしまいます。
なので、高PRL血症が起きてしまう訳ですね。


c PCOS
誤り。以前まとめたこんな問題があります。

【PCOS】【不妊】【検査】【国試本題】 - 現役医大生きよすけのブログ

ざっくりいうとPCOSは卵巣で、中途半端な状態で卵胞が活性化している状態で、
下垂体からLHがふわーと高値を示します。LHの高値はアンドロゲン高値を引き起こします。LHは卵胞の莢膜に働きかけ、アンドロゲン分泌を促すからです。無月経不妊をきたす疾患です。インスリン抵抗性をきたし、またエストロゲンはちろちろ出て、プロゲステロンは出ないため、子宮体癌のリスクもあります。
肥満の人に多く、LH上昇、FSHは正常値。体温は一相性。エコーで卵巣内のネックレスサインを認め、アンドロゲン高値が引き起こす多毛、にきびも特徴的な所見です。

追記!

PCOSも高PRL血症を引き起こしますけど、PCOS無月経は高PRL血症以外の理由により起こるから今回の問題では誤りなのでしょうか?」というお問合せを頂きました。
はい、その通りです!
PCOSは高PRL血症を合併しますが頻度としては15%ほど。
そして主にPCOSの高PRL血症は無月経の主因とは考えがたい、そして甲状腺機能低下症が選択肢にある以上はそちらを選ぶべきと考えて問題を作りました!
いろいろな予備校の国試対策本を、友人に頼んで見せてもらいましたがPCOSに高PRL血症と書いてないものまでありましたので、余力ある人が覚えると言うことでいいのではないでしょうか・・・?いかがでしょう。

d ドパミン作動薬
誤り。逆です!逆!
ドパミン作動薬はプロラクチンに対して抑制的に働き、プロラクチノーマの治療にはドパミン作動薬を用います。