現役研修医きよすけのブログ

私 きよすけの勉強用のものです。(旧名takuwaningのブログ、昔アカウント名がけんだったころもあります)運営者は医学的助言を行っておりません。当ブログの情報の利用は自己責任でお願いします。

【紫斑】【血小板減少】

きよすけの一言
「卒試終わったらダイエットするって言ってたのに・・・ 言ってたのに」

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問題
40歳女性。主訴:動悸と息切れ。10日前から月経出血が止まらず、出血量も多かった。さらに数日前から息切れと動悸を感じるようになった。脈拍96/分、整。血圧120/78mmHg。皮膚は蒼白、前胸部と下腿とに点状出血を認める。心音呼吸音に異常を認めず。腹部は平坦軟で、肝脾を触知しない。血液所見:赤血球250万、Hb7. 5 g/dl、Ht24 %、網赤血球3%、白血球8,800(骨髄球1%、桿状核好中球9%、分葉核好中球55%、好酸球1%、単球9%、リンパ球25%)、血小板3,000。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本で巨核球を認める。造血細胞に形態異常は認めない。
この疾患について誤っている文を選べ(105D27改) #けん国試
尿素呼気試験を検討する
b 先天性疾患である
c 風疹などが誘因となることもある
d 皮下出血を起こしやすい

答え

 


「b 先天性疾患である」

 

さてこの疾患振り返ってみましょう!

動悸と息切れ、月経出血が止まらず、そして点状出血あり→出血が止まらず貧血になっている?その証拠にHb7.5g/dl
血小板3000、網赤血球3%、白血球8300→血小板はめっちゃ低値、網赤血球3%ってことは赤血球製造、白血球製造の方は良い感じそう!

骨髄に巨核球あり→あ!血小板も作れている!ということは
作れた血小板が何らかの過程で壊されて、止血することができなくなり貧血になっている病気だ!

こうなると疾患名としては 免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)があがりますね。
え?血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)では?と思うかもしれません、熱ないし、精神症状も呈していないし、腎障害もなさそうなので考えづらいですね。

問題
40歳女性。主訴:動悸と息切れ。10日前から月経出血が止まらず、出血量も多かった。さらに数日前から息切れと動悸を感じるようになった。脈拍96/分、整。血圧120/78mmHg。皮膚は蒼白、前胸部と下腿とに点状出血を認める。心音呼吸音に異常を認めず。腹部は平坦軟で、肝脾を触知しない。血液所見:赤血球250万、Hb7. 5 g/dl、Ht24 %、網赤血球3%、白血球8,800(骨髄球1%、桿状核好中球9%、分葉核好中球55%、好酸球1%、単球9%、リンパ球25%)、血小板3,000。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本で巨核球を認める。造血細胞に形態異常は認めない。
この疾患について誤っている文を選べ(105D27改) #けん国試
元となった国試問題→ 105D27 - みんなの質問掲示板


選択肢
尿素呼気試験を検討する
正しい。ITPはH.pyroli感染と関連があり、ピロリ除菌をすると治癒することがある。
b 先天性疾患である
誤り。後天性疾患です。(112A11 - みんなの質問掲示板)をチェック!
c 風疹などが誘因となることもある
正しい。先行感染を呈すことがあります!
d 皮下出血を起こしやすい
正しい。やはり上にリンクを張った112A11をチェックしていただいたらわかりますが、紫斑が起こるということはつまり皮下出血を呈すと言うことになります。


免疫性血小板減少性紫斑病、特発性血小板減少性紫斑病 ITP

血小板に対して、抗体を後天的に作ってしまい 免疫+抗体 が脾臓で破壊され血小板が減少する。
好発:小児、高齢者。風疹などの先行感染やH.Pylori感染が関連
症状:出血傾向あり、紫斑(皮下出血)、
検査項目:血小板減少。PT・APTTは正常。骨髄染色では巨核球数上昇を認めます。
また血小板関連免疫グロブリンの上昇を起こすことも
治療:H.pylori除菌、副腎皮質ステロイド、脾摘(抗体がくっついた血小板は脾臓で破壊されるからですね!)、トロンボポエチン、γ-グロブリン大量投与(101G35 ITPの治療法を選ぶ問題では副腎皮質ステロイドとγグロブリン大量投与が正解でした!)

 


血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)はHUS(溶血性尿毒症症候群)と似ています。

TTPの国試出題 → 106D42 - みんなの質問掲示板

TTPは症状が特徴的!
機序:vWF因子をちょん切るADAMTS13因子の活性が低下することで、巨大vWFが生じ血栓を生じさせることが原因
症状:血小板減少、溶血性貧血、精神症状、発熱、腎障害
(発熱、精神症状などから髄膜炎との鑑別が必要になることも)
検査:血栓ができるので血栓にぶつかって破砕赤血球を認めます。
治療:血漿交換療法。新鮮凍結血漿ステロイド血小板投与は禁忌です!

 

HUSは腸管出血性大腸菌の感染後、菌が産生するベロ毒素によって血管内皮が傷つき、血小板血栓が多数生じる病気です。
症状は血小板減少、溶血性貧血、腎機能障害があり、腸管出血性大腸菌の先行感染による発熱、下痢、血便なども特徴的です。
治療は脱水に対する補正、また透析など。下痢が出るからと言って下痢止めをもちいてはいけません。