【電解質】【体重減少】
きよすけの一言
「ここ二日くらいポカポカしてません・・・?」
問題
28歳の女性。この2年間で8kgの体重減少があり来院。
薬物服用はなく、食事は少ないながらも摂取しているという。
身長156cm、体重38kg。体温37.0℃。脈拍72/分、整。血圧90/52mmHg。
表情に乏しく、問診時も無関心な様子で言葉数が少ない。
口腔粘膜と四肢・体幹部の皮膚に色素沈着を認める。
血液所見:赤血球341万、白血球2,500。血液生化学所見:空腹時血糖62mg/dL、Na132mEq/L、K5.6mEq/L。
更なる検査としてACTH、コルチゾールを測定した。
検査結果として考慮されるものはどれか?
(112F65改)
a ACTH高値 コルチゾール高値
b ACTH低値 コルチゾール低値
c ACTHはこの文からはわからない
d ACTH高値 コルチゾール低値
答え
「d ACTH高値 コルチゾール低値」
解説
やや低Naの人がいる! ここで重要なのがKの値です!
この疾患ではK高値ですよね(ややだけど!)
低Naでかつ高K
これは アルドステロンが 働いていないぞ!
「アルドステロンが働かない」時は以下の機序がありますね。
1アルドステロンが出せない(例Addison病)
2コルチゾールが出ていない(例やっぱりAddison病 コルチゾールはアルドステロンと同様の働きをします)
ちなみに副腎皮質は下垂体の調節をACTHによって受けますが、アルドステロンはACTHがなくたって分泌されます。
ACTHがないと副腎からでなくなるのは、アンドロゲンとコルチゾール!
副腎皮質機能低下症の中で、
副腎がダメ、視床下部、下垂体が無事な原発性副腎皮質機能低下症 だと
アルドステロン、コルチゾール、アンドロゲンは全滅、全部血中低値を示しますが
視床下部や下垂体がダメ、副腎は無事な続発性副腎皮質機能低下症 だと
アルドステロンはOK! コルチゾールとアンドロゲンが低値を示します。
鑑別ポイントはACTH! 原発性副腎皮質機能低下症では、副腎がうんともすんとも言わないため、ネガティブフィードバックによりACTHが高値を示します。
ACTHは副腎の働きを促進する働きと共に、体中に色素沈着を引き起こします。
色素沈着のような高ACTHの証拠があれば、原発性!
なく、またK値も正常であれば続発性が疑われますね。
この方の場合も
低Na血症、高K血症、そして色素沈着を認めるので
高ACTHそしてコルチゾールは低地であることが予想されます。
元の問題
また別の病気ですが、低Na血症の場合
心因性多飲
・診断は水制限or高張食塩水負荷で尿浸透圧上昇(尿浸透圧基準は300osm)
・治療は水制限
SIADH (脳に対するダメージを負った場合や、薬の副作用。また肺小細胞癌のADH分泌などが原因)
・診断は血清Na値低値、浸透圧低値。尿のNa値高値、浸透圧高値なのにもかかわらずADH分泌亢進を確認(同時に腎機能や副腎機能正常をCre値やCORT値から確認!)
・治療は水制限、デメクロサイクリン。また高張食塩水で血中Naを上昇させつつ、フロセミドによる利尿。