現役研修医きよすけのブログ

私 きよすけの勉強用のものです。(旧名takuwaningのブログ、昔アカウント名がけんだったころもあります)運営者は医学的助言を行っておりません。当ブログの情報の利用は自己責任でお願いします。

ウイルス性肝炎 B型肝炎

他のウイルス性肝炎との違い
・DNAウイルス(肝炎ウイルスでは唯一)
・潜伏期間は1~6ヶ月
・感染経路は成人では体液感染(性行為など)針刺し事故、刺青、注射器の使い回し、輸血が主となる。乳幼児では妊娠中の母から感染する垂直感染が主となる。
・成人感染の場合、慢性化することは極めて稀。免疫能が正常な成人の20~30%ほどが急性肝炎を発症し、その後非活動性キャリア(症状はないけど人に感染してしまう)を経て、回復期(他人に感染もしない)へと入る。
・乳幼児感染の場合、肝炎の症状の原因でもある免疫能がまだ未発達の為、免疫獲得とともに不顕性の肝炎を発症し、そのまま90%が症状のないまま「無症候性キャリア」に移行すると考えられる。無症候性キャリアに移行しなかった10%、また無症候性キャリアの内の10%程は慢性肝炎へと移行し、肝硬変、肝細胞癌へと進展していく。
・劇症肝炎を来すのは稀(全体の1%以下)。しかしHBVB型肝炎ウイルス)遺伝子型Bでは見られる。

HBV遺伝子型による違い
C:日本最多。ポピュラーなタイプ。肝細胞癌を発症しやすいものが多く、慢性化は稀。
B:日本で二番目に多い。劇症肝炎を来すものもある。
A:最近増えてきている欧米由来の遺伝子型。これが慢性肝炎へと移行しやすい。

HBVは三つで一つ
HBVは肝細胞内で増殖し、血中へと放出される。
(その為胆汁として腸管に排出されるHAVとは違い糞便経口感染ではない)
HBVが肝細胞内で産生するのは以下の3つ。
・DNAとDNAポリメラーゼ
・HBs抗原:無駄に多くつくる。最終的に産生するHBVの1,000倍ほど多くHBs抗原だけ作る。診断マーカーとして用いる。
・HBc抗原:HBVの中心になる重要なパーツ。なのでHBVの抗体はHBc抗体である。(IgM型HBc抗体とIgG型HBc抗体)3つにまとまれずに単独で放出されたら、血中では名前を変える。血中での呼び名はHBe抗原。
この3つがまとまって完全なHBVとして血中に放出される。
HBVの3人組を作れなかったHBs抗原やHBc抗原はそのまま血中へ放出され、マーカーとなる。(特にムダに多いHBs抗原)

診断
・B型急性肝炎では
「HBs抗原陽性」と「IgM型HBc抗体陽性」をもってB型急性肝炎と診断する。
またHBe抗原が陰性化し、HBe抗体が陽性化するHBeセロコンバージョンは肝炎が収まり始めたことを意味するため、治療評価に用いる。
・B型慢性肝炎では
「HBs抗原陽性」と「IgG型HBc抗体陽性」をもってB型慢性肝炎と診断する。
・HBs抗体は再感染を防ぐ抗体であるため、HBs抗体陽性は、HBV治癒(既感染の場合)もしくはワクチン接種済み(ワクチン効果ありの基準がHBs抗体)を意味する。

予防
乳幼児の場合
生後12時間以内に一回、その後生後一ヶ月で一回、6ヶ月で一回と計3回ワクチンを摂取する。(最初の一回目は抗HBsヒト免疫グロブリンも同時に投与する)
成人の場合
HBVキャリアのパートナーや家族
医療従事者などが3回摂取する。3回摂取してもHBs抗体陰性の場合、追加接種を行う。