【絨毛性疾患】【絨毛癌】【胞状奇胎】

けんの一言

hCGってすごいエッチなコンピュータグラフィックのことだとばかり・・・いやぁ・・・ふがいない・・・。

問題
絨毛性疾患(a・bで言及)、妊娠性絨毛癌（c・dで言及）について正しいものを選べ #けん国試

選択肢
a 雄核発生が原因で部分胞状奇胎が起こる
b 血中hCGの上昇は認めない
c メトトレキサート・アクチノマイシンDで治療する
d 潜伏期間は約６か月である。

 答えは

 「c メトトレキサート・アクチノマイシンDで治療する」です。

解説

a 雄核発生が原因で部分胞状奇胎が起こる
誤り。雄核発生は全胞状奇胎の原因。
b 血中hCGの上昇は認めない
誤り。胞状奇胎では血中も尿中もhCGが上昇します。
c メトトレキサート・アクチノマイシンDで治療する
正しい。多剤併用化学療法を行います。
d 潜伏期間は約６か月である。
誤り。胞状奇胎を掻爬してから2.3年ほどして尿中hCGが再上昇する。というのが典型的なエピソードです。

絨毛性疾患
・胞状奇胎（全と部分があります）
・侵入奇胎
・絨毛癌
の３つを押さえましょう。

胞状奇胎
・全胞状奇胎
全部の絨毛がダメ。人っぽい成分は皆無！
人っぽい成分がないということから、父と母の両方の核をもっておらず
父由来の精子だけで構成されているというポイントを覚えてしまいましょう（この特徴を雄核発生といいます）

・部分胞状奇胎
ちょっと人っぽい成分あり。
「ん？妊娠か？お、エコーで心拍認めたぞ！　やったーおめでただー！」と思ったら、心臓だけ持つ部分胞状奇胎だった。
みたいなこともありえます。
母由来の卵子に、精子が2匹やってきてしまった場合に部分胞状奇胎が起こります。その場合染色体は69 XXYのようになります。

症状、検査、治療は胞状奇胎で共通です。

症状：無月経、不正性器出血。つまり「お 妊娠か？」と疑うような症状です。
検査：尿・血液中のhCGが上昇します。（通常妊娠の場合の10万をゆうに超える、30～60万mIU/mlくらいまで上昇します）
治療：子宮内容除去術！しっかり根こそぎとれればいいんですが・・・。取れない場合は侵入奇胎や絨毛癌を引き起こしてもしまいますので、遺残がエコーなどで見つかった場合再掻爬術を行いましょう！

・侵入奇胎
胞状奇胎などの治療である掻爬術後、半年以内に発見されることが多いです。
エピソードとしては
「あ、胞状奇胎だ！治療だ！掻爬だ！・・・あれ？掻爬してもhCG下がんないな～」ってのが
侵入奇胎に典型的なエピソードです。
治療はメトトレキサートやアクチノマイシンDを用います。
【ポイント】
体温は一相性

・絨毛癌
奇胎手術後、hCGが下がったのにそこから再上昇するのが特徴です。
妊娠のエピソードがあればどんな人でも発症しうる疾患です。
治療はメトトレキサートやアクチノマイシンDを併用する多剤併用化学療法を行います。
【ポイント】
体温は二相性

【侵入奇胎・絨毛癌に共通するポイント】
肺転移などの血行性転移が多いという点
（→その為、胸部X線を撮っておきましょう）
化学療法を行う点