現役研修医きよすけのブログ

私 きよすけの勉強用のものです。(旧名takuwaningのブログ、昔アカウント名がけんだったころもあります)運営者は医学的助言を行っておりません。当ブログの情報の利用は自己責任でお願いします。

【絨毛膜羊膜炎】【切迫早産】

きよすけの一言
ポリクリで嗅いだんですけど、本当に魚のにおいなんですね CAMの匂い。本当に魚、ダメになった魚」

 

問題文
妊娠28週4日の妊婦。主訴:少量の出血と規則的な腹部緊満感。子宮頚管長は24mmで内子宮口は漏斗状開大を認めた。子宮収縮は15分に1回程度であったがその間隔は短縮しつつある。胎児は週数相当の発育を示す。WBC,CRP,粘液中顆粒球エラスターゼ高値を認める。適切な対応はどれか?(101G2縮) #けん国試

a 抗菌薬投与、頸管縫縮術
b 抗菌薬投与、帝王切開
c 抗菌薬、副腎皮質ステロイド投与
d 抗菌薬、塩酸リトドリン投与

 

答えは

 

「d 抗菌薬、塩酸リトドリン投与」です。

 

解説

a 抗菌薬投与、頸管縫縮術
誤り。頸管縫縮術は頸管無力症に対して行う。
b 抗菌薬投与、帝王切開
誤り。まだ妊娠は継続する。
c 抗菌薬、副腎皮質ステロイド投与
誤り。切迫早産の場合、肺サーファクタントの産生、肺成熟を促す為に用いますが
CAMを併発している場合は用いません。
d 抗菌薬、塩酸リトドリン投与
正解!妊娠継続して肺成熟を待ちましょう。


この妊婦さんは絨毛膜羊膜炎CAMから切迫早産という状態です。
CAMである根拠は粘液中顆粒球エラスターゼ高値であるという点です。

CAMは扱いが難しい疾患です。
「胎児をまだ育てたい」という気持ちと
「早くこの感染してしまった絨毛膜羊膜を体外に出さないと」という気持ちがアンビバレンスな関係にあるからです。

細かいですが条件を覚えてしまって対応策を把握しましょう。

 

妊婦さんが気づかないようなCAMを不顕性CAMと言います。
弱い程度で起こっているものですので妊娠は継続です!なので子宮収縮を抑制する塩酸リトドリンを用います。
感染が悪化しないように抗菌薬も使いますね。
*1

 

熱が出ていたり、検査値で感染が疑われたり、臭かったり、おなかが痛かったり、妊婦さんが「あれ?」と思うようなCAMが顕性CAMです。
抗菌薬は使います。
ただ妊娠を継続するかしないかは
・肺が成熟しているか(例妊娠34週を超えているか)
・羊水が感染しているかいないか(していたらターミネーション)
などの条件に左右されます。

 

ただここらへんの線引きは難しいので、出題は手加減されていることが多いです。
血液内科の問題などにありがちな現象ですね(*2
例えば100C6では
CAMです、双子です、妊娠30週です。切迫早産です!使う薬はどれ?二つ選んでという問題で
選択肢が以下のようになります。

抗菌薬は用いるとして、残り1つ。
bceは子宮を収縮させます。となるとbceのどれかが正解なら他の二つも正解になってしまいます。
あ、ということはまだ妊娠継続させるんだな・・・ってな感じで正解は選べてしまいます。

僕のおすすめはCAMの切迫早産の問題は数をこなして感覚を養うことがかなり有効な気がします。
ぜひぜひ取り組んでみてくださいね。

 

 

*1:(妊婦さんが気づかないような・・?じゃあどうやって気づくのと思った方、鋭い!
子宮収縮がきっかけになって行った検査の結果、膣の菌の勢力図が変化(=乳酸菌が低下)していることが証明されると不顕性CAMとなります)

*2:勉強すると難しいけど、出題は手加減されていて意外に解きやすい問題を血内問題と僕は呼びます