現役研修医きよすけのブログ

私 きよすけの勉強用のものです。(旧名takuwaningのブログ、昔アカウント名がけんだったころもあります)運営者は医学的助言を行っておりません。当ブログの情報の利用は自己責任でお願いします。

【TORCH】【胎児発育不全】

きよすけの一言
「推薦状ってな・・・に・・・?」(現在 マッチング締め切り5日前)

 

 

答え

 「b 胎児は均衡型発育不全と考えられる」

 

問題文
妊娠32週0日の胎児が発育異常を指摘された。超音波検査で児は男児で、
児頭大横径〈BPD〉は77mm、腹囲〈AC〉は24.5cm、
大腿骨長〈FL〉は55mm、推定児体重は1,290gである。
この病態について正しいものを選べ。(104E51編)

a クラミジアトラコマティスが関連する
b 胎児は均衡型発育不全と考えられる
c サイトメガロウイルスの経産道感染が考えられる
d 体重は週数と比べ正常である

 

解説

まずは胎児のデータがこんなに示されているので、それぞれを評価していきましょう。
まずは体重を考えます。
体重は正常は30週で1500g そこから+-3週ごとに500g増減します。
そう考えると、32週のこの子は 2000g弱あっていいはずの体重が1300gほどしかありません。
となると胎児発育不全が疑われますね。
児頭大横径(BPD)は週数を4で割ると正常値がでます、32週のこの胎児は80mm ほしいところが77mm。77を4で掛け算すると30.8週 ちょっと小さめですよね。
体重軽くて、頭も小さい、均衡型の胎児発育不全が考えられます。
均衡型の胎児発育不全の場合、考えられるのは胎児側の問題です。
染色体異常や、先天奇形、感染症アルコール中毒*1 ですね。

ちなみに不均衡型、つまり頭は大きい(正常なまま)の胎児発育不全の場合は、胎盤・母体因子を考えます。*2

胎児発育不全の胎盤・母体因子といえば妊娠高血圧症候群や喫煙などが挙げられます。

a クラミジアトラコマティスが関連する
誤り。クラミジアはTORCHではない。胎児に対するダメージではなく、不妊・異所性妊娠の原因となる。
b 胎児は均衡型発育不全と考えられる
正しい。
c サイトメガロウイルスの経産道感染が考えられる
誤り。元の問題では「サイトメガロウイルスが関連する」という選択肢が正解ですが
まだ生まれていませんし、サイトメガロウイルスは経胎盤感染です。
TORCHの中で経産道感染するのはヘルペスだけ!
T トキソプラズマ
O(otherなのでこれはまぁ・・・深追いしないで放置しましょう 梅毒やパルボウイルスB19がotherの中でも経胎盤感染します)
R 風疹 
C サイトメガロ
これらは全部経胎盤感染です。

d 体重は週数と比べ正常である
誤り。体重は週数と比べると軽すぎます。

 

104E51 - みんなの質問掲示板

*1:え?後半二つは母体因子では?となりますよね。まぁ例外です 覚えましょう・・・。

*2:胎盤・母体に問題あり、つまり胎児は問題ないのでやってくるダメージから脳だけは守ろうと血流再分配を起こして頭だけは無事に発育するわけですね