現役研修医きよすけのブログ

私 きよすけの勉強用のものです。(旧名takuwaningのブログ、昔アカウント名がけんだったころもあります)運営者は医学的助言を行っておりません。当ブログの情報の利用は自己責任でお願いします。

【Rh】【血液型不適合妊娠】

きよすけの一言
「オモテ試験とウラ試験 主試験と副試験、直接coombsと関節coombs試験 ややこし~」

オモテ試験、ウラ試験・・・ABO式血液型の検査。ポイントは患者の赤血球。
オモテ試験は患者赤血球と血漿としての試薬(抗A抗体や抗B抗体)を混ぜます。患者赤血球抗原を調べます。オモテ→表→表面→赤血球表面抗原を調査する!
ウラ試験は患者血清と試薬としての赤血球(A型やB型、O型)を混ぜます。

 

主試験、副試験・・・輸血前にはやるルールになっている交差適合試験(クロスマッチテスト)の試験ですね。ポイントはやはり赤血球。だけど今回大事なのは輸血血液の赤血球。
主試験は患者血清と輸血血液赤血球を混ぜます。今から入れる輸血血液赤血球、どこかの馬の骨の血液なわけなのでしっかり調べないとですよね。
副試験は患者赤血球と輸血血液血清を混ぜます。緊急時省略されることがあります。

 

直接coombsと間接coombs試験・・・どちらも患者体内の不完全抗体の有無を調べる試験ですが、直接coombs試験と関節coombs試験は結構違うものなので分けて考えるのがおすすめです。
直接coombs試験は加害者も被害者も当事者の血液から連れてきます。悪さをする抗体が赤血球表面に存在して悪さをしている(現行犯な)ところを直接確かめます。自己免疫性溶血性貧血や、新生児溶血などの疾患の検査に行います。
間接coombs試験はとりあえず加害者の存在だけを確かめます。悪さをしたくなるような試薬(赤血球)を用意して患者血清と混ぜます。悪さをしているところを確認する検査ですね。よーく考えるとこれって交差適合試験の主試験ですよね。
間接coombs試験陰性ならRhD-妊婦がまだ感作されていないことを示す。

 

 

 

答え

 

「b 全胞状奇胎の後、抗Dヒト免疫グロブリンを考慮する」

 

問題
Rh式血液型不適合妊娠について誤っている文はどれか? #けん国試

a 抗Dヒト免疫グロブリンは2回投与する。
b 全胞状奇胎の後、抗Dヒト免疫グロブリンを考慮する
c 初回の妊娠で胎児は症状を呈さない
d 胎児水腫をきたす

 

追記

 

解説

Rh式血液型不適合妊娠は、ちょーめずらしい血液型であるRh(-)な妊婦さんがRh(+)な旦那さんとの間にRh(+)の子供を妊娠した時に気を付けなければいけない疾患です。

ありふれた血液型であるRh(+)の人では、赤血球がD抗原を持っていることなんて当たり前なので血清には抗D抗体なんて作りません!作っちゃったら溶血が起こりまくってしまいますもんね。

Rh(-)なお母さんがRh(+)な胎児を妊娠すると、妊娠中、通常は胎児の血液は母親の血液と混ざり合いませんが、妊娠中、出産のどさくさで胎児のRh(+)赤血球が母体に紛れ込むことがあります。
そうするとRh(+)が非常に珍しい母親の体内で抗D抗体が作られてしまいます。
第1子*1は被害をうけず、抗D抗体が作られた後妊娠する第2子が被害を受けるのはこういった理由からですね。

治療
母親の体内にRh(+)赤血球が混ざりこんでも、抗体が作られないようにすれば良い訳なので、抗Dヒト免疫グロブリンを母体に投与します。母体がRh(+)赤血球を攻撃するために抗D抗体を作る訳ですから、代わりに攻撃してくれるグロブリンを投与することで母体にいちいち抗D抗体を作らせないという作戦です。
抗Dヒト免疫グロブリンは2回(妊娠28週、分娩から72時間以内)投与します。

 

a 抗Dヒト免疫グロブリンは2回投与する。
正しい。
b 全胞状奇胎の後、抗Dヒト免疫グロブリンを考慮する
誤り。全胞状奇胎は胎児成分ゼロ。つまりRh(+)赤血球は作られないので不適合妊娠の心配は不要です。
c 初回の妊娠で胎児は症状を呈さない
正しい。まだ母親の体内で抗D抗体は作られていないから、第1子は無事ですね。
もちろん胎児以外、妊娠以外でも母親の体内に抗D抗体は作られうりますので△にしたいところですが、まあbが誤りなので答えはcです。
d 胎児水腫をきたす
正しい。溶血性貧血、胎児水腫を来します。溶血性貧血なので間接ビリルビン上昇、黄疸などの症状を呈します。

*1:厳密にいうと初めてのRh(+)胎児の妊娠ですけどね