現役研修医きよすけのブログ

私 きよすけの勉強用のものです。(旧名takuwaningのブログ、昔アカウント名がけんだったころもあります)運営者は医学的助言を行っておりません。当ブログの情報の利用は自己責任でお願いします。

【国試本題】

きよすけの一言
「雷がすごいなってて こわい」

 

問題

35歳男性。主訴口渇多飲。一か月前から症状を自覚。夜間排尿の為睡眠障害も覚える。
血糖85mg/dl、HbA1c5.2%(基準4.3~5. 8)
Na 147 mEq/l、K4. 2 mEq/l、Cl105 mEq/l、Ca9. 2 mg/dl、P4.0mg/dl。尿浸透圧:デスモプレシン〈DDAVP〉5μg点鼻投与前160mOsm/l、投与後460mOsm/l。 (102I56縮)
この患者にみられるのはどれか?

a 網膜の軟性白斑
b バソプレシン受容体機能低下
c 5 %高張食塩水負荷でADH分泌反応低下
d 頭部単純MRIのT1強調矢状断像で下垂体後葉の信号強度の増強


答え

「c 5 %高張食塩水負荷でADH分泌反応低下」

 

解説

夜間多尿。 ってことは糖尿病や尿崩症を考えますよね
でも、血糖値 HbA1cから糖尿病は考えづらそうです。
そしてこの問題文の中では、デスモプレシン点鼻試験してますね。
この点鼻試験の前の尿の浸透圧が160と低値であることからまず尿崩症や心因性多飲が疑われます。
そして試験後、無事尿の浸透圧が上昇していますね。
ここから尿崩症の中でも、中枢性尿崩症が候補にあがりますね。腎性尿崩症はちょっと違いそうですね。(腎性尿崩症の原因である低Na値、高Caもないですしね) 

a 網膜の軟性白斑
誤り 糖尿病網膜症3兄弟の一つ、増殖前網膜症の所見ですね。(単純網膜症(硬性白斑)→増殖前網膜症(軟性白斑)→増殖網膜症)
糖尿病は考えづらいですね。


b バソプレシン受容体機能低下
誤り。腎性尿崩症はバゾプレシンの投与で尿浸透圧上昇しないですね。

c 5 %高張食塩水負荷でADH分泌反応低下
正しい。この文章やっかいですよね~。 反応なしっていわんかい! と思う気持ちもわからんでもないですけど。 「あるはずのものがない」 これは低下ですね。

d 頭部単純MRIのT1強調矢状断像で下垂体後葉の信号強度の増強
誤り。 中枢性尿崩症なので下垂体後葉の信号はむしろ消えます。
正常の下垂体後葉は光り輝くくらいキラキラするんですが、これはバゾプレシンが光ってるらしいです。 中枢性尿崩症ってバゾプレシンが「ない」疾患なので、信号は消失する訳です。

102I56 - みんなの質問掲示板

 


尿崩症まとめ

心因性多飲・・・
水制限試験、高張食塩水負荷試験で尿浸透圧上昇。
ストレスから水を飲みすぎてしまうことによるADH抑制が起きている疾患。
血液検査:血性Na低値
治療は水制限

中枢性尿崩症
デスモプレシン(DDAVP)負荷試験で尿浸透圧上昇。
血液検査:血清Na高値。
治療はDDAVP。

腎性尿崩症
DDAVP負荷試験しても最後まで尿浸透圧上昇せず。
血液検査:血清Na高値。
治療はサイアザイド系利尿薬