現役研修医きよすけのブログ

私 きよすけの勉強用のものです。(旧名takuwaningのブログ、昔アカウント名がけんだったころもあります)運営者は医学的助言を行っておりません。当ブログの情報の利用は自己責任でお願いします。

【気管支喘息】

きよすけの一言
「マッチング登録するとドキドキしてきますね」

問題文
気管支喘息について説明した以下の文の中で、正しいものを選べ。

a アスピリン喘息はIgEが関与している
b 高調性の断続性ラ音を聴取する
c 喘息発作時、PaC02は上昇、低下両方を示しうる
d 気道の過敏性亢進は不可逆性である

 

答え

「c 喘息発作時、PaC02は上昇、低下両方を示しうる 」

 

 

解説

喘息には
アトピー型、非アトピー型があります。
小児が多い(小児が9割)なのがアトピー型喘息
成人がちょっと増える(成人が4割、小児が6割)のが非アトピー型喘息です。
IgEが関わるのはアトピー型です。
アトピー型の代表例はアスピリン喘息ですね。この機序にはIgEは関わっていません。

ただIgE陽性、つまりアトピー素因を持っている人が非アトピー型喘息を起こしていることもあるので
「あ、IgE高値の喘息患者だ! アトピー型か!」という決めつけはできません。(国試ではたぶんそれで問題なさそうですけどね)

 

a誤り
IgEはアスピリン喘息には関わっていません。
アスピリンはNSAIDSですのでアラキドン酸カスケード内のシクロオキシゲナーゼを阻害することで
プロスタグランジン産生量を低下させる薬ですよね。
プロスタグランジンを作らず余った材料はロイコトリエン産生にまわされます。大量のロイコトリエンは気管支収縮を起こし喘息症状を呈します。
なので喘息の長期管理薬としてロイコトリエン受容体拮抗薬が用いられるんですね。

b誤り
断続性ラ音は coarse cracklesやfine cracklesなどのことですね。
喘息で特徴として挙げられるものは、連続性ラ音のwheezes(末梢気管支の狭窄)です。
連続性ラ音はwheezes(末梢気管支の狭窄)とrhonchi(中枢気管支の狭窄)ですね。

我ながらつまらないひっかけを作ってしまいました(けんはこういうひっかけ問題を教習所問題と呼びます。こういった人間のうっかりを誘う問題は本当につまらないですが、国試には残念ながら出ます。ひっかからないようにしましょう)

c正解
喘息発作は軽い時と重篤な時で分けて考えてみましょう。
軽い時はPaO2の低下に対して呼吸数が増加するのでPaCO2は低下します。
重篤な時は、気管支が高度に狭窄するので肺胞低換気が起こります。つまりⅡ型呼吸不全の状態になりますね。PaCO2は上昇します。

d誤り
喘息は基本的に可逆性の過敏性亢進が起こります。
閉塞性肺疾患で国試にでるのは、気管支喘息COPDとレアキャラのびまん性汎細気管支炎(とさらにURキャラの気管支拡張症ですね)
メインのCOPDと喘息の大きな違いはそれぞれ可逆性か、不可逆性かです。
喘息の変化(末梢気管支の狭窄)は可逆性(基本的には可逆性。重度だと不可逆性ですが)
COPDの変化(気道閉塞や肺胞構造の破壊)は不可逆性です。
この二つですが、喘息には発作がありCOPDにはない(急性増悪はありますが)ことを考えれば覚えられると思います。
喘息は発作が起きていると狭窄が起きていて、発作が収まると狭窄は解除されている。つまり可逆性があるということですね。