現役研修医きよすけのブログ

私 きよすけの勉強用のものです。(旧名takuwaningのブログ、昔アカウント名がけんだったころもあります)運営者は医学的助言を行っておりません。当ブログの情報の利用は自己責任でお願いします。

【動静脈婁】【動静脈ろう】

きよすけの一言
「難しいですよね ろうの字」

 

肺動静脈婁を疑う患者に問診する場合、特に聴取すべき項目として最もふさわしくないものを選べ。 #けん国試

a 本人だけでなく家族の鼻出血頻発のエピソード
b 脳卒中の既往歴
c 外傷のエピソード
d アレルギー歴

 

答え

「a 本人だけでなく家族の鼻出血頻発のエピソード 」

 

a 本人だけでなく家族の鼻出血頻発のエピソード
正しい。肺動静脈婁の原因として「常染色体優性遺伝形式」の疾患(Rendu-Osler-Weber病)があるので、家族に同じようなエピソードがないか聴くことは重要ですね。

b 脳卒中の既往歴
正しい。
Rendu-Osler-Weber病では肺以外でも動静脈婁が生じるので、脳出血が起きやすいです。
また肺のフィルター機能が機能しないため、脳梗塞や、脳膿瘍も生じやすくなっています。

c 外傷のエピソード
正しい。
肺動静脈婁は外傷後も起きます。

d アレルギー歴
誤り。
特に肺動静脈婁とアレルギーに関与はありません。
ただ、もちろん問診ではアレルギー歴は聞かないといけませんけどね。


肺動静脈婁では、肺動脈から肺静脈にシャントが生じます。
つまり血液が肺胞を通ることなく、酸素化されないまま左房に返ってしまいます。
症状としては
肺動静脈婁が起こすものとしては「I型呼吸不全」と脆弱な血管が破綻することで生じる「血胸、喀血」が挙がります。
また「脳梗塞」や「脳膿瘍」も生じやすいです。普段では肺胞がフィルターとして働いているのに、シャントが生じるとそこを飛ばしてしまうため体循環で生じた塞栓や、細菌が止まることなく脳に移行してしまうことが原因です。、

肺動静脈婁も原因によって分類されます。
1先天性の肺動静脈婁
生まれつき肺に動静脈婁が出来ています。基本的に肺にだけ動静脈婁があるので多臓器では動静脈婁はみられません。

2遺伝性のもの
Rendu-Osler-Weber病が有名ですね。
鼻粘膜や口腔粘膜の血管の脆弱性、易出血性が特徴で常染色体優性遺伝ですので
同じようなエピソードを血縁に認めます。
また動静脈婁は脳でも認めますので、脳出血などもきたしやすいです。

3外傷性のもの
外傷後、肺動静脈婁を生じることがあります。

検査
聴診:吸気時増強する雑音。
造影CT:境界明瞭な腫瘤影と流入する血管影を認める。
※生検は禁忌!

治療
カテーテル的コイル塞栓術や肺部分切除などの外科手術。