現役研修医きよすけのブログ

私 きよすけの勉強用のものです。(旧名takuwaningのブログ、昔アカウント名がけんだったころもあります)運営者は医学的助言を行っておりません。当ブログの情報の利用は自己責任でお願いします。

【COPD】【急性増悪】

きよすけの一言
「マッチングのこと、卒試のこと、国試のこと・・・ もうパンパン」

 

COPDの急性増悪について正しいものを選べ #けん国試

a モラクセラ・カタラーリスは原因菌の一つである
b 原因菌を特定してから治療を行う
c 他疾患(気胸心不全)合併によるものが多い
d 細菌感染によるものが多くウイルスは関与しない

 

答え

 「a モラクセラ・カタラーリスは原因菌の一つである 」

 

解説
a モラクセラ・カタラーリスは原因菌の一つである
正しい。モラクセラは嫌な奴なんで元気な健常者には悪さあまりしないんですが、弱っているCOPDの患者さんに対しては、強気に攻撃してきます。治療薬はマクロライド系抗菌薬です。

b 原因菌を特定してから治療を行う
誤り。エンピリックセラピーを行いましょう。原因菌を特定できてからはde-escalationを検討してよいですね。

c 他疾患(気胸心不全)合併によるものが多い
誤り
他疾患を合併することで呼吸状態が悪化する状態はCOPDの急性増悪と呼びません。

d 細菌感染によるものが多くウイルスは関与しない
誤り
ウイルスも原因になります。急性増悪の原因としては菌が5割、ウイルスは3割ほどと言われています。

 

COPDの急性増悪
聞いたことはあるけど詳しくは知らない!って方。「なんかCOPDに他の感染症とかがかぶさってヤバくなるんでしょ?」くらいの理解の方! 僕と一緒です!笑
一緒にもうちょっとCOPDの急性増悪を勉強しましょう!


まずはCOPDを簡単に掴みましょう。
タバコの煙(※1)で気管支が炎症起こす→
気管支が狭くなって「息が吐けなくなる」→
閉塞性換気障害が起きます。無理して息を吐こうとするので圧力がかかり、肺胞が破壊されます。(※2)


(※1 タバコだけでなく有害なガスなら起こり得ます。ただ国試では基本タバコのせいにしてていいですね)
(※2 歯磨き粉の蓋閉めたままチューブギュッてしたら、チューブが壊れるのとイメージは近いですね)

さてそんな「COPDの急性増悪」ですが、あくまでも増悪するのはCOPDです。
もちろん患者さんの容体も急に悪くなりますが、「COPDの急性増悪」の名前の由来はあくまでもそのままCOPDの病態が増悪することです。
なぜこんなつまらないところを強調するかと言いますと、大事だからです。
他の疾患を併発して、合わせ技で患者さんの容体が悪くなってもそれはCOPDの急性増悪ではありません。

あくまでも何らかの原因(多くは感染症)で「COPDがさらに酷くなって」患者さんの容体が悪くなることをさすのが「COPDの急性増悪」という概念です。

原因は細菌感染やウイルス感染が多いですが、大気汚染が要因となったり原因不明なままのこともあります。
原因菌としては肺炎球菌や、インフルエンザ桿菌、モラクセラカタラーリスが多く
原因ウイルスではインフルエンザウイルスやライノウイルスが多いです。

治療は
まずは呼吸状態を安定化させましょう。酸素投与やNPPVが行われます。(COPDの急性増悪では肺胞低換気が起こっており2型呼吸不全の状態に陥っていることが多いです。つまりCO2ナルコーシスを非常に起こしやすいので注意して、低濃度の酸素から投与することを考慮してください)
あとはABCアプローチが行われます。
A antibiotics抗菌薬(エンピリックセラピーを行いましょう。抗菌薬投与前の血液培養も忘れずに!)
B bronchodilators 気管支拡張薬 短時間作用型β2刺激薬を用いましょう
C corticosteroids COPDは炎症ですから、ステロイドで炎症を抑えてあげましょう。感染症が原因でも恐れることなくステロイドを用いましょう。

また予防策として、COPDの患者に対して
肺炎球菌ワクチンやインフルエンザウイルスワクチンを接種するように指導することも効果が高いです。