胸やけのアセスメント
突然ですが、研修医1年目の僕が今のところ一番ぼんやりしてるなー(自分の理解がね)捉えどころないなーと思っている主訴を発表します。
それは、 胸やけ です。
胸やけといえば、GERDじゃんね~ と思ってたら
指導医 「そうだね、きよすけくん、じゃあそれ以外に何があるかな?」
ぼく「え、え・・・ えーと・・・おぇ 吐きそっ・・・・」
ってなっちゃったんです。完全に思考が詰んでる、僕は知らない間に病態生理の羽生善治と盤を挟んで向き合っていました。
だってさー!!!
GERDって、「NERD」(炎症所見、見た目の異常が起きてないのに症状があるというタイプ)と、見た目から炎症が起きている「逆流性食道炎」の二つを内包する広い考えじゃないですか。
それだけじゃないの!? いや、それだけじゃないだろうけど。うすうす俺もわかってるよ? でもさー・・・ 参りました(お辞儀)
ってことでいろいろ調べたことを自分のためにまとめておきます。
・胸やけを感じる3種類の経路
・最もシンプル「胃酸の食道粘膜への逆流」
・あ、敏感になっちゃったのね「食道粘膜の過敏性亢進」
・ひとつめと似てるけど、どこか違う*1「腸液・胆汁の食道粘膜への逆流」
・よくある原因疾患と 見逃しちゃいけない疾患
よくある!
・機能性ディスペプシア、逆流性食道炎、食道裂肛ヘルニアなど。肥満や妊娠による腹腔圧の上昇が原因になることも。シンプルに胃潰瘍・十二指腸潰瘍だったりもするんだって! 一続きの消化管だからイメージと実体の場所がちょっと肛門側にずれることがある訳だね、ややこしいや。
もちろん、消化管の機能亢進や十二指腸よりも肛門側での閉塞がめぐりめぐって胸やけを起こしていることもある。これもやっぱり消化管が一続きだから起こることですね。
見逃したらあかん!
・食道癌、胃癌が原因で胸やけが生じていることも! これは見逃さないようにしなきゃね!
・え?まじ!?って思うけど主訴が胸やけの急性冠症候群もある。ま、かなり珍しいんだけどね~。
・検査法
そりゃシンプルなのは上部消化管内視鏡検査!
これならコモンな各疾患も診断つくし(機能性ディスペプシア:FDにおいての上部消化管内視鏡検査は、器質性変化の否定をすることで機能性ディスペプシア:FD以外の病名の除外診断をしていくことになるけど、まーこの場合の上部消化管内視鏡検査もFDを診断する上で、キングを詰ます為の必要なポーンの進みにはなってくれる)
あと、胃潰瘍の原因としてのH.pyroli感染を見つけることもできるね! 萎縮性胃炎ってやつとかとか。
直接カメラで見に行くわけだから、見逃すのが怖い腫瘍性病変も見つけることができる。凄いぞ、上部消化管内視鏡検査!
その他には心電図検査をやったりもありですね。夜寝ている時の胸やけ感の出現? 夜ご飯食べてその後寝転ぶ姿勢を取るわけだから典型的なGERDじゃん! って思った底の君! 異形狭心症が君を(君の患者を)狙っているぞ!!!
もちろん、激しい運動時の胸やけはGERDだけじゃなくて、労作性狭心症なこともある訳ですよ。これも怖い。
ちょっと難しいけど24時間pH検査や、食道内圧検査たちも、LES圧(下部食道括約筋)低下を検出することに便利ですね!
あと、最後に言うのもなんですけど胸やけは、症状が起こる時の時間帯や姿勢を知ることで診察につながりやすくなるので丁寧な問診が一番診断に有用って言われてたりするらしいよ!
あと、胸やけという言葉が何を意味しているのかより明確にするのも大事!
痛い(GERDらしさ)のか、もたれる感じ(機能性ディスペプシアらしさ)があるのか。質問する時は相手の主訴の言葉を繰り返すだけでなく、診断を頭に浮かべながらちょっとずつ相手の主訴を変換して「胸やけというのは痛みですか?」 とか「何かもったり残っている感じですか?」とか「酸っぱさが舌に感じられますか?」という質問をすることも大事だそうですよ! 確かにこれら全部胸やけだもんね。
胸やけの原因になってるのが精神的なストレスによる機能性ディスペプシアやGERDだってこともあるから、さもありなんって感じですね! 職場の転換や、大学の試験など何かあったかさりげなく聞くのが名医ってやつなのかな~ *2
ってことで胸やけ、自分のためにまとめてみました。
*2:難しいよね、こういう話題。