現役研修医きよすけのブログ

私 きよすけの勉強用のものです。(旧名takuwaningのブログ、昔アカウント名がけんだったころもあります)運営者は医学的助言を行っておりません。当ブログの情報の利用は自己責任でお願いします。

ARDS診療ガイドライン(2016年)読んだよ

読んだよ、ガイドライン

 

「読んだよ、ガイドライン」とは、ガイドラインを読みながら私きよすけが纏めた記事です。すばらしいガイドラインをアホアホ研修医フィルターを通したものがこの記事です。

いい点:アホアホ研修医フィルターを通しているので、わかりやすい情報がまとまっています

悪い点:アホアホ研修医フィルターを通したため、間違っていたり、真意を取り違えたり、大事なことが抜けていたりします

 

ARDSの定義

・急性発症の低酸素血症
・先行する外傷、疾患がある
・胸部X線写真で両側の肺水腫を認める
心不全、腎不全、血管内水分過剰だけでは今の病態が説明できない

 

ARDSの本態
・肺微小血管の透過性亢進による肺水腫。(好中球主体の炎症が原因とされている)

 

ARDSの分類

PaO2/FIO2が200-300未満:軽症
100-200未満:中等症
-100:重症

ARDSの原因
直接損傷間接損傷
直接損傷
高頻度なもの→肺炎、誤嚥(胃酸による化学性肺損傷)
低頻度なもの→脂肪塞栓、有毒なガスの吸入、肺挫傷
間接損傷
高頻度なもの→敗血症、外傷、熱傷
低頻度なもの→心肺バイバス術、急性膵炎、輸血によるもの(TRALI)
※外傷性ARDSは予後が良い。

ARDSの症状・病態生理
低酸素血症:シャント形成や拡散障害によるもの。酸素投与では改善しないことがARDSの低酸素血症の特徴とされる。
低CO2血症(ARDS初期)→高CO2血症(進行ARDS)
コンプライアンスの低下
気道抵抗の上昇
肺血管抵抗の上昇

活性化した好中球は血管を透過しにくく、かつ血管にくっつく力が強まるため、血液中の好中球が肺の血管に集合する。
いくら活性化した好中球が血管を透過しにくいといっても、マクロファージなどの血管透過性亢進の効果を受けて、好中球は肺血管外に移動し始める。
肺の間質や、肺胞の腔内に移動してきた好中球は、炎症を引き起こす。これが更に血管透過性を更新する。

低酸素血症の詳しい機序
・シャント形成による低酸素血症
まずシャント血流という言葉の確認!
シャント血流というのは、肺にやってきたのに酸素化されないままの血液のこと!
さて、ではなんでシャント血流が増えるかというと……


ARDSでは肺胞腔内が肺水腫でビタビタになる→肺胞内がビタビタになると、表面張力が低下する(とガイドラインには書いてある。僕は上昇すると思うんだけどな…)→肺胞が虚脱して、酸素が肺胞にやってこない!

換気のない肺胞が生じてしまう。これがシャント血流のメカニズム!


・肺コンプライアンスの低下による低酸素血症
コンプライアンスの低下、つまり肺が硬くなる!ということ。
肺間質の浮腫、肺サーファクタント機能の低下が肺コンプライアンスの低下を招くとされている。ARDSの患者の肺は硬くなるだけでなく、広がりすぎやすいとも言われている。
無理に力をかけ過ぎると、肺胞は広がりすぎてしまう(過伸展してしまう)し、力をある程度かけないと肺胞はしぼんで(虚脱して)しまうということ。
肺胞の虚脱を防ぐためには、肺胞が虚脱する圧(下変曲点とよぶ)の+2cmH2Oに、PEEPを設定するとよいという専門家も居るけど、揉めてるらしいですよ。

・気道抵抗が上昇することによる低酸素血症
気道の中に、水腫液が増えること、また気道粘膜の腫脹によって気道抵抗は上昇する。
この気道抵抗が原因で、酸素が取り込みにくくなっていると考えられているが、逆に肺胞が虚脱しがちのARDSにおいて、換気量を維持するための代償的なものと考えられることもあるとのこと。役に立ってるかも知れないんだね!

・拡散障害による低酸素血症
浮腫によって酸素は通り道(肺胞→肺毛細血管)を通りにくくなる。このことが原因で低酸素血症が起こる!
ちなみに二酸化炭素は拡散能力が20倍あるため、酸素が通れなくなるくらいの浮腫でも全く問題なく体外へと排出され続ける。そのため拡散障害は高CO2血症を引き起こさない。
勘違いしていけないのは、ARDSの拡散障害が高CO2血症を引き起こさないのであって、ARDSの低換気(肺胞に空気がやってこない)は高CO2血症は引き起こすので注意!

・換気血流比不均等分布
ARDSの人の肺をCTで見てみると、すっごいまだらに病変は存在している。特に重力がかかっている側(仰臥位でいる人なら背側、伏臥位なら腹側)では特に換気がうまくいかなくなる。また残念なことに、血流はまた重力の影響を受け、重力のかかる側に集まる。 つまり換気がうまくいってない所に、血流が集中することになる。換気血流比の不均等が起こっているので低酸素血症を起こすことになる。

・肺高血圧になる!
ARDSでは肺血管攣縮、肺梗塞、肺水腫による血管の圧排により、肺血管抵抗が上昇することで肺高血圧が起きる。肺血管攣縮のメカニズムには炎症によるものと、換気血流比の不均等を是正する代償性の側面をもつものがあると考えられる。

・肺サーファクタントが働かない
そもそもARDSの人の肺では、
サーファクタントが好中球に分解され、
フィブリノーゲンにサーファクタントがくっついてしまってうまく働かなくなり、
高度の炎症が起きるとサーファクタントが合成されなかったりして
サーファクタントが働かない

・病理的所見
ARDSの肺は病理学的に ”びまん性肺胞障害”(diffuse alveolar damage) を呈しているとされている。ARDSと診断され生検、剖検された肺の大体半分ほどでDADは確認されていて、もちろんその他の所見を呈す例もある。多くが感染性肺炎も併せて有しており、
感染性肺炎で剖検にいたった例(つまり亡くなってしまった)の中でDADを呈していない場合は急性期に死亡した例が多かった。
DADを呈しており、細菌性肺炎を呈していない場合は肺胞出血、肺水腫、DAD以外の間質性肺炎、肺塞栓、悪性腫瘍、結核などが臨床的にはARDSと判断された例に含まれうる。臨床的にARDSと診断された例に対して生検をする例は少ないが、生検によって病因がはっきりして治療がしやすくなった例も多く報告されており、侵襲性の高い検査に関しては、リスクとベネフィットを天秤にかけて判断する必要がある。

・ARDSの診断・検査
ARDSの肺胞虚脱、シャント効果によって低酸素血症、呼吸困難が生じる。ARDS初期の場合は呼吸困難は労作時に呈するが、ARDSの進行とともに呼吸困難は安静時にも呈するようになる。
ARDSの多くは基礎疾患が生じてから12時間~48時間後、遅れて生じるとされている。特徴としては
敗血症に比べ、外傷が先行する場合ARDSの発症は遅れがちになるという点や
行基礎疾患の発症から5日以上遅れる遅発型のARDSもないわけではない(全体の1割ほど)点が挙げられる。

 


今日はここまで!(20Pまで読んだ!)