現役研修医きよすけのブログ

私 きよすけの勉強用のものです。(旧名takuwaningのブログ、昔アカウント名がけんだったころもあります)運営者は医学的助言を行っておりません。当ブログの情報の利用は自己責任でお願いします。

【肺高血圧】【特発性肺動脈性肺高血圧症】

けんの一言

特発性肺動脈性肺高血圧症の字面のパワーたるや・・・絶対手書きしたくないですよね。

 

問題文
特発性肺動脈性肺高血圧症について正しい文章を選べ。#けん国試

 

選択肢
a Ⅱ誘導でP波の尖鋭増高を認める
b NSAIDsを血管拡張目的で用いる
c 胸部CTにおいて肺動脈の全体的な拡張を認める
d 心エコー図で左室肥大を認める

 

 

 答えは

a Ⅱ誘導でP波の尖鋭増高を認める」です。

問題文
特発性肺動脈性肺高血圧症について正しい文章を選べ。#けん国試

 

選択肢
a Ⅱ誘導でP波の尖鋭増高を認める
b NSAIDsを血管拡張目的で用いる
c 胸部CTにおいて肺動脈の全体的な拡張を認める
d 心エコー図で左室肥大を認める


解説

a Ⅱ誘導でP波の尖鋭増高を認める
正解。肺性P波というやつですね

b NSAIDsを血管拡張目的で用いる
誤り。ダメです、NSAIDsは血管を開くプロスタグランジン産生を阻害するので逆効果です。

c 胸部CTにおいて肺動脈の全体的な拡張を認める
誤り。全体ではありません。肺動脈の狭窄から中枢側では拡張を、末梢側では狭窄を認めます。

d 心エコー図で左室肥大を認める
誤り。左室は基本なにもおこらない疾患です。
肺高血圧なのでこの病気の舞台は右心です。


特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)
肺高血圧症は原因によって分類されます。

第1群 肺動脈が原因であるもの
第2群 左心性心疾患に伴うもの
第3群 肺疾患および低O2血症に伴うもの
第4群 血栓が原因によるもの
第5群 詳細不明のもの

といった具合です。
IPAHは第5群かな?と思いきや第1群です。なぜかというと肺動脈が狭窄を来す原因が特発性(原因がわからんの意)であり、肺高血圧をきたす原因は肺動脈の狭窄ということが分かっているためですね。

さてそんな特発性肺動脈性肺高血圧症ですが、基本データを抑えておきましょう。
病態:原因不明の肺動脈内腔狭窄
好発:若年女性
症状:呼吸困難、胸痛、経静脈怒張、浮腫、チアノーゼ
聴診:Ⅱp亢進、Graham steel雑音(肺高血圧がきたす機能的PRが起こす音です)
検査:心電図では肺性P波や右軸偏位。レントゲンでは左第2弓の拡張をエコーでは右房拡張や右室肥大などの右心負荷を示す所見を認めます。カテーテル検査では肺動脈圧が平均で25mmHgを超える肺高血圧を認め、それでいて肺動脈楔入圧は正常のままなのが肺動脈性肺高血圧の所見です。
治療:肺動脈を拡げることが治療です(プロスタサイクリン、PDE5阻害薬、エンドセリン受容体拮抗薬などです)

プロスタサイクリン:PGI2のこと、血管を拡げる。
PDE5阻害薬:血管拡張を起こすcGMPを分解するPDE5を阻害することで血管を拡げます。勃起治療などにも用いられるそうですよ。
エンドセリン:エンドセリンは血管を収縮させます。なのでそのエンドセリン受容体を拮抗することで血管を拡げるわけですね

 

IPAHは 109D32 でも出題されています。

https://minkore.com/bbs_detail/750

ぜひぜひ見てみてくださいね!