現役研修医きよすけのブログ

私 きよすけの勉強用のものです。(旧名takuwaningのブログ、昔アカウント名がけんだったころもあります)運営者は医学的助言を行っておりません。当ブログの情報の利用は自己責任でお願いします。

救急を回る前に読む記事

質問箱にこんな質問を頂きました。

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実務的なことは無理なので、精神的なことで僕が教えられそうなポイントを今回記事でまとめようと思います。

 

っちゅー訳で僕が言いたいことはシンプルに一つだけ。


医師の一挙手一投足は大きい意味を持つのだから、思慮深く動け!

ってことです。

 

どういう時に思慮深く動く必要があるのか、細かく説明させて下さい。

 

・手技は積極的行為、でもコミュニケーションはそうじゃないことを意識する。

 

説明すると書いておいてまだまだ抽象的な話ですいません。もうちょっとちゃんと説明させて下さい。

救急を回っていく上で大事なスキル=求められるスキル=伸ばすことができるスキルは2種類に分けられると思うんです。

1つ目は知識・手技的な側面。注射を刺したり、輸液の種類を選んだり、検査のオーダーをしたり。問診においては「何を聞くのか」がこちらですね。

2つ目は現場でのコミュニケーション。患者さんに疾患の説明をしたり、患者さん家族・同僚から必要な情報を得たりするものがこれです。良好な人間関係を築き患者さんに診療に協力してもらうのもコミュニケーションですよね。 問診においては「どうやって聞くのか」がこっちかな?

さて大事になってくるのがここからです。

1つ目のスキル、手技はあなたがまだ経験がなくて何もできない場合、何も起きないんですよ。
「うわーどこ刺せばいいの?」って戸惑っちゃうのなら2年目の先輩や指導医に任せればいい。*1
患者さんの腕があなたの持つ針にえいっと刺さってくることはありません。輸液もあなたが(これかな~ これでいいのかな~)と考えてるだけなら、患者さんの体にその輸液は入っていきません。
待ってるだけなら患者さんに積極的危害は加えなくて済むんです。*2

 

でも2つ目のコミュニケーションのスキル。これが難しい。なんでか?  患者さんのそばにいるだけで患者さんにいきなり質問されるからです。患者さんに付き添ってきた同僚の方の前をスクラブを着て通るだけで質問されるからです。

これは避けられません。まだわかりづらいですかね。では例をあげて更に説明させて下さい。

 

あなたの病院にてんかんっぽい症状で患者さんが来ました。指導医も「てんかんっぽいよね、検査しないと診断はつかないけど」って言ってます。
さて患者さんに付き添ってやってきた同僚の方が、ベンチの前を通ったあなたを呼び止め質問してきました。

「○○さんってなにか病気なんでしょうか? 上司の方から診断ついたら伝えるようにいわれているんですが」

 

この時、もちろんてんかんのての字も言っちゃだめです。
国試でもありましたよね、守秘義務ってやつですよ。絶対に言っちゃだめです。
職業によっては病名が示唆されただけで仕事から外されるようなこともあります。上司の方が危険と判断したりすることがあるわけです。
どうしますか、あなたが「てんかんの疑いがありますね、でも検査しないと詳しい診断はつけれません」という事実を同僚の方に伝えただけだとしても
同僚の方は 「なるほど ○○さんてんかんなのか」 と誤解し、上司にはそう報告してしまう。上司は○○さんを今の仕事から外すと判断したりする。こういう大失敗の伝言ゲームが起きてしまいかねません。

守秘義務だから駄目。これは当然ですけど、でもそれだけじゃない、そもそも医師であるあなたの発言は取り返しのつかないことを招くパワーが有るわけです。

 

だから常に自分の発言・文章が何らかの問題を引き起こさないかを頭において行動すべきです。

それは別に守秘義務を守りましょうという意味ではありません。
お願いされても勝手に検査することを約束してはいけませんし、勝手に診断書を書いてはいけない。
こういう場面は急にやってきます。急にやってきた時に焦って取り返しのつかない返事をしないこと、これが思慮深く自分の行動を考えてから行動するということです。


救急の現場では、患者さんは意識がない状態が続いていたりすることがあるため、家族・同僚から情報を得なければいけないことがあります。
そしてこういう情報収集はえてして研修医の仕事になることが多いです。

 

「救急外来は病名を付ける場所ではありません。危険を取り除いて命のバトンを繋いで、それが繋げたら正しい診断のためにそれぞれの専門家にバトンをつなぐための場所です。今日一日で全ては解決できません。そして患者さんの全員が全員にすぐ病名がついて治療できる訳でもありません。 できるだけ正しい診断・治療につなげるため質問させて下さい」
そういう時僕は ↑ みたいなことをよく言っていました。これは別に指導医の発言を真似したわけでもないので正しいかはわかりません。*3けど3ヶ月の間はこのことわりから、情報収集を開始するとうまくいく事が多かったです。

 

いいですか
医師の一挙手一投足は大きい意味を持つのだから、思慮深く動け!

大事なことだから2回言いました。

これ言ってみたかったんだよね〜!

最後に
このノウハウはあくまでも一例ですからね! 例えば時間が本当にない時に上記のような長台詞しゃべっちゃだめですからね!!! そこは臨機応変で、でもコミュニケーションはそんな時でも細心の注意が必要ってことを伝えたかったです。

ちょっとでもこの記事がお役に立てると幸いです。
また先輩医師の方々からのダメ出しをいただけると助かります。この記事のコメント欄でも、質問箱でもいいので放置せず修正にお手をお貸しして頂けると助かります。

 

*1:てかわからないなら任せるべき

*2:もちろんいつまでもそれじゃいけないので、手技・適切な輸液薬剤の選択、ファーストタッチに関する知識は頑張ってどんどん勉強していきましょ。

*3:もしオススメの問診方法があれば教えて下さい!