現役研修医きよすけのブログ

私 きよすけの勉強用のものです。(旧名takuwaningのブログ、昔アカウント名がけんだったころもあります)運営者は医学的助言を行っておりません。当ブログの情報の利用は自己責任でお願いします。

【がん検診】【下部消化管内視鏡】【コミュニケーション】

けんの一言 

こういうタイプの問題解けたら「PERFECT COMMUNICATION!!」って文字が脳内に出る

 

問題
60歳男性。大腸がん検診で便潜血陽性を指摘され来院。健診結果は2回のうち1回目は陽性、二回目は陰性であった。
男性は「10年前、胃潰瘍瘢痕があるとは言われました。今は特に痛みもないし変な色の便が出たこともない」と語った。医師として最も適切な返答は以下のいずれか? #けん国試 (104H23改)
a「二回目が陰性なので心配ないですよ」
b「手術をしましょう」
c「上部消化管内視鏡検査を行いましょう」
d「下部消化管内視鏡検査を行いましょう」

 

 

答えはd 「下部消化管内視鏡検査を行いましょう」です。

大腸がん検診としての便潜血検査は簡便ではありますが、感度は低いため二回行われてやっとスクリーニングとしての意味がある感度になります。(それでも8割程度)
なので2回行った検査のうちどちらかが陽性であれば、それだけで精密検査が必要になるということになります。

a「二回目が陰性なので心配ないですよ」
上記の通りなのでこの発言は間違いにあたります。

b「手術をしましょう」
いきなり手術はおかしいです。まずは癌なのかはっきりさせなければいけませんし、そもそも手術できる癌なのかもわかっていませんしね。

c「上部消化管内視鏡検査を行いましょう」
下に難しい解説は別にあります。ただ『大腸がん検診』にひっかかってるんだからまずは大腸見ようよという発想でいいと思います。

ちょっと難しい解説
大腸がん検診では免疫学法が行われます。この検査での陽性は上部消化管の出血よりも下部消化管の出血を示唆しますので答えはdというわけですね。
便の検査には免疫学法と化学法があります。

化学法・・・血液内の成分(ヘム)を見つけることで便中に血液の存在を証明する方法。実際はペルオキシダーゼ作用を持つ成分があれば陽性を示してしまうため、肉や魚に含まれる血液、緑黄色野菜を食べると偽陽性を起こしてしまう。

免疫学法・・・血液内のヘモグロビンに対して反応する抗体を用いて便中に血液の存在を証明する方法。上部消化管出血の場合、血液が胃酸の影響で変性してしまうため抗体は反応しにくくなってしまいます。
その為胃酸の影響を受けづらい下部消化管出血が免疫学法では検出されます。