【上腸管膜動脈症候群】【上腸管膜動脈閉塞症】

きよすけの一言
「ワニ、楽しみに待ってます」

問題
上腸管膜動脈症候群について説明した文(a,b)、上腸管膜動脈閉塞症について説明した文(c,d)の中で誤っているものを選べ. #けん国試

選択肢
a 痩せ体系、女性に多い
b 治療は保存的対症療法を行うことが多い
c 動脈硬化などが原因の一つである
d アルカローシスが特徴である。

答え

「d アルカローシスが特徴である」

さーて解説ですね。

まずはこの糞ややこしい二つの病気の名前をしっかり区別しましょう。

上腸管膜動脈症候群は
閉塞するのは十二指腸です。腸管が大動脈と上腸管膜動脈に挟まれて閉塞します。
被害者は十二指腸、加害者が上腸管膜動脈と大動脈です。
物理的な閉塞が原因なので、前屈したり、左側臥位で痛みが軽減します。

上腸管膜動脈閉塞症は
上腸管膜動脈そのものが閉塞します。原因は動脈硬化で血管内壁が傷ついたり、心房細動でできた血栓が飛んできて詰まったりします。
被害者が上腸管膜動脈、そして上腸管膜が栄養する腸管（主に右側）です。

上腸管膜動脈症候群は実際は食べ物が通れず詰まっていることが原因ですので、とりあえずいったん食事を中止し経過観察すれば治まります。

ですが上腸管膜動脈閉塞症はそうはいきません。
広域な範囲を栄養する上腸管膜動脈が閉塞するので、一刻も早く上腸管膜動脈の閉塞を解除しなければ腸管が壊死してしまいます。腸管や筋肉が壊死するとアシドーシスが起こりますね。
アシドーシスの他には、検査値としては白血球上昇やCK,LDHの上昇も引き起こされます。腸管が壊死する、つまり細胞が壊れる為、中のCKやLDHが漏れ出てくるという訳ですね。

その為、緊急手術を行い時には壊死した腸管の切除が必要になることもあります。

二つの違いを纏めてみました

　　　　上腸管膜動脈症候群　　　　上腸管膜動脈閉塞症

被害者　　　十二指腸　　　　　　　　　上腸管膜動脈
加害者　上腸管膜動脈、大動脈　　　　　動脈硬化、血栓

診断　　　　消化管造影、CT　　　　　　造影CT、血管造影　　　

治療　　　　経過観察　　　　　　　　　緊急手術（カテも行うことも）

区分

f:id:takuwaning:20200320193253j:image